研究課題
若手研究(B)
末梢性T細胞リンパ腫における病理組織診断マーカーの解析、腫瘍幹細胞の探索、治療モデルの確立のためにNOGマウスを使用し患者検体から末梢性T細胞リンパ腫である血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫のモデルマウスを作製した。作製したモデルマウスは、継代が可能であった。継代移植を行いマウス体内に形成された腫瘍は、患者のクローンと同一であることを確認した。NOGマウスに移植し形成された腫瘍は、患者検体と同様の条件で免疫組織染色を行うと染色精度が低くアーチファクトも強いことが確認できた。そのため今回作製したモデルマウスの腫瘍にてリンパ腫解析に必要と思われるCD3、D20、CD4、CD8、CD25、CCR4、VEGF-A、CD31、α-SMA、PD-1等の代表的な抗体の染色至適条件を確立させた。我々の調査では、成人T細胞白血病/リンパ腫患者のリンパ節生検標本にて血管内皮細胞増殖因子の発現を確認したところ23例中22例が陽性であった。また今回作製した成人T細胞白血病/リンパ腫モデルマウスでは、移植もとである患者検体とマウスに形成された腫瘍の両者にて血管内皮細胞増殖因子が陽性であった。この結果を得て、血管内皮細胞増殖因子に対するモノクローナル抗体(ベバシズマブ)を用い、CHOP療法単独治療とCHOP療法にベバシズマブを加えた治療を比較検討した。CHOP療法にベバシズマブを加えた治療では、CHOP単独治療に比較し有意に生存期間が長いことが確認され、有効な新しい治療モデルであると考えられた。
4: 遅れている
末梢性T細胞リンパ腫である血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫のモデルマウスを作成した。末梢性T細胞リンパ腫非特定型モデルマウスにおいては、作成を試みるも腫瘍の生着が得られなかった。末梢性T細胞リンパ腫非特定型モデルマウスが確立出来ていないため、モデルを使用した病態解明、表面抗原の解析、遺伝子解析が進んでいない。
引き続き臨床講座の協力を得て末梢性T細胞リンパ腫非特定型の検体を用意し、NOGマウスへの移植を行いモデルマウスを確立していく。少ない腫瘍細胞でも生着できるよう腫瘍細胞の抽出や生着を阻害する細胞の分離の検討を行い精度を高めていく。今回作成した血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫のモデルマウスにおいて病態解明や表面抗原・遺伝子解析をする予定である。
調達方法の工夫などにより、当初計画より経費の使用が節約できたことにより生じた未使用額。研究を進めていくなかで必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なってしまったが、研究計画には変更はなく前年度の研究費も含め、当初の予定通りの計画を進めていく予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
European Journal of Haematology
巻: 92 ページ: 219-228
10.1111/ejh.12231
Human pathology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.humpath.2014.01.017.