研究課題
末梢性T細胞リンパ腫における病理組織診断マーカーの解析、腫瘍幹細胞の探索、治療モデルの確立のためにNOGマウスを使用し患者検体から末梢性T細胞リンパ腫である血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病のモデルマウスを作製した。作製したモデルマウスは、継代が可能であった。継代移植を行いマウス体内に形成された腫瘍は、患者のクローンと同一であることを確認した。NOGマウスに移植し形成された腫瘍は、患者検体と同様の条件で免疫組織染色を行うと染色精度が低くアーチファクトも強いことが確認できた。そのため今回作製したモデルマウスの腫瘍にてリンパ腫解析に必要と思われる、CD3、D20、CD4、CD8、CD25、CCR4、VEGF-A、CD31、α-SMA、PD-1等の代表的な抗体の染色至適条件を確立させた。我々の調査では、成人T細胞白血病患者のリンパ節生検標本にて血管内皮細胞増殖因子の発現を確認したところ23例中22例(96%)が陽性であった。また今回作製した成人T細胞白血病モデルマウスにおいては、移植もとである患者検体とマウスに形成された腫瘍の両者にて血管内皮細胞増殖因子が陽性であった。この結果を得て、血管内皮細胞増殖因子に対するモノクローナル抗体(ベバシズマブ)を用い、成人T細胞白血病の標準的な治療であるCHOP療法単独治療とCHOP療法にベバシズマブを加えた治療を比較検討した。CHOP療法にベバシズマブを加えた治療では、CHOP単独治療に比較し有意に生存期間が長いことが確認され、有効な新しい治療モデルであると考えられた。
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Human pathology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.humpath.2014.01.017.
European Journal of Haematology
巻: 92 ページ: 219-228
10.1111/ejh.12231