研究課題/領域番号 |
25860274
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
永沢 崇幸 岩手医科大学, 医学部, 助教 (10453309)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / 腺管分離法 |
研究概要 |
腺管分離法は組織から間質を除外し腺管のみを採取する方法で、癌における解析では純粋な癌腺管のみの解析を行うことができ、より精度の高い遺伝子解析が可能になる。これまで卵巣癌において多くの遺伝子異常が報告されているが、過去の報告では間質を含んだ検体を用いているものがほとんどであり、腫瘍腺管のみの解析はされていない。本研究は、腺管分離法を卵巣腫瘍へ応用し、上皮性卵巣腫瘍における分子病理学的解析を行い,これらの異常の相互の関連性を明らかにすること、またその分子病理学的異常の形態と予後との関連を検討することを目的としている。本研究は2年計画であり、目標研究対象症例数を50例とした。 平成25年度の卵巣癌(疑い含む)手術症例のうち、研究の同意を得て組織を採取できたのは25例であった。このうち、3例が性索間質性腫瘍、2例が表層上皮性良性腫瘍(粘液性腺腫)であった。また、腹膜偽粘液腫と診断したものが2例あり、研究対象から除外した。表層上皮性・間質性の悪性腫瘍を12例、境界悪性腫瘍を6例認めた。悪性腫瘍の組織型は漿液性腺癌4例、類内膜腺癌4例、粘液性腺癌2例、明細胞腺癌1例、悪性ブレンナー腫瘍1例であった。境界悪性腫瘍の組織型は粘液性腫瘍3例、漿液性腫瘍2例、混合性腫瘍1例であった。研究対象症例18例はすべて腺管分離法にて腫瘍腺管を得られている。 近年、卵巣癌の遺伝子解析については多くの報告があり、発癌や進展に関与する遺伝子異常が徐々に明らかになりつつある。婦人科腫瘍関連学会に参加し、最新の知見を得るようにも努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目標の研究対象症例は50例としている。最終年度(26年度)は遺伝子解析等に重点を置くため、初年度は30以上の症例を得ることが望ましかった。例年よりも卵巣癌症例が少なかったことも影響し、本年度は18例に留まった。また、18例中境界悪性腫瘍が6例を占めており、より多くの卵巣癌の対象症例を確保する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究対象症例を確保することに努めるが、状況によっては目標症例数を修正することも考えなければならない。確保された症例についてはそれぞれの遺伝子異常の相互関連、また臨床背景や臨床経過との関連の解析をすすめていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画より試薬・消耗品等の物品費がやや増加したが、旅費の使用額が少なかったため次年度使用額が生じた。 生じた次年度使用額は低額であるため、翌年度分の使用計画に大きな変更はない。計画的に使用するように留意していく。
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