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がん組織は、がん細胞とそれを取り巻く間質成分から構成される。がん間質中の線維芽細胞はがん関連線維芽細胞（cancer-associated fibroblast: CAF）と呼ばれ、がん細胞とCAFの相互作用ががん進展に大きく寄与することが示されている。これまでに行ってきたmicroarray databaseの解析およびヒト癌組織より単離・培養したCAFを用いた解析から、CAFで特異的に高発現するメタロプロテアーゼ候補分子としてコラゲナーゼ分子を同定した。さらに最終年度にヒト肺癌組織検体を用いた免疫組織化学的解析を行い、標的コラゲナーゼは、がん細胞とともに一部の間質細胞で発現することを見出している。現在標的コラゲナーゼノックアウトマウスを用いたがんモデルの作製・解析を進めており、標的コラゲナーゼノックアウトマウスでは腫瘍形成能の低下傾向が見られており、間質細胞由来標的コラゲナーゼががん進展に関わる可能性が考えられる。一方、前年度より行ってきたヒトCAF由来エクソソームのプロテオーム解析では、ヒトCAF由来エクソソームにおいてADAM10 (a disintegrin and metalloproteinase-10)の発現上昇が見られる一方で、メタロプロテアーゼの内因性インヒビターであるTIMP (tissue inhibitor of metalloproteinases)の一部の発現が低下しており、CAF由来エクソソームではメタロプロテアーゼ活性が相対的に上昇している可能性が示唆される。CAF由来エクソソームを用いた質量分析法による解析は進行中であるが、近年担癌患者の血清中でエクソソーム中標的コラゲナーゼが増加している報告があり、今後CAF由来エクソソームの関与およびその役割について解析を進めていく予定である。
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