研究課題
本年度はCK19陽性肝細胞癌(CK19HCC)について、癌の浸潤や転移機序の一つであるEpithelial mesenchymal transition(EMT)に関連するマーカー(E-cadherin, ZEB1, ZEB2, SNAIL, vimentin)の発現状態について解析し、典型的な肝細胞癌(HCC)、胆管細胞癌(CC)との相違を検討した。上皮細胞接着分子E-cadherinの発現減衰はHCC:9/12例(75%)、CK19HCC:6/9例(66.7%)、CC:10/10例(100%)で認められた。E-cadherinを制御するZEB1の発現頻度はHCC:16.7%、CK19HCC:55.6%、CC:70%、ZEB2はHCC:25%、CK19HCC:44.4%、CC:0%、SNAILはHCC:58.3%、CK19HCC:77.8%、CC:10%であった。間葉系細胞マーカーvimentinの発現頻度はHCC:0%、CK19HCC:22.2%、CC:60%であった。HCCとCCはSNAIL、ZEB1、vimentinの発現で有意な違いを認めた。CK19HCCはSNAIL発現でHCCと同様の傾向を示したが、ZEB1及びvimentinではHCCとCCの中間の発現頻度であり、EMTがHCCとCCの中間的な状態である可能性が示唆された。症例数を増やすと共にEMT関連miRNAの発現について検討を進めている。また、確立したmiRNA ISH法を用いて膵癌及び膀胱癌におけるmiR-21発現について検討した。膵癌では腫瘍間質miR-21高発現群で腫瘍径が有意に大きかった。膀胱癌では腫瘍細胞及び腫瘍間質miR-21発現と癌の進行度で有意な関連がみられ、miR-21高発現群で患者生存期間が有意に短かった。膵癌及び膀胱癌で腫瘍間質miR-21が癌の進展に関与することが示唆された。
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Journal of Hepato-Billiary-Pancreatic Sciences
巻: 未定 ページ: 未定
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