研究概要 |
腸管症型T細胞リンパ腫(Enteropathy-type T-cell lymphoma, EATL)はCeliac病を基盤とするTypeIとde novoに発生するTypeIIに分類され、本邦のEATLの多くはType IIとされる。 本邦のEATL20例の解析を行った。腫瘍細胞は中~大型13例、小~中型5例、中型5例であった。免疫組織化学で20例全てCD3, TIA-1陽性、CD5陰性を示した。TCR-βは2例、TCR-γは12例(M1, 7/19; Pan, 10/19)に陽性を示し、αβT細胞2例, γδT細胞12例、double negative T細胞6例と考えた。その他CD2(12/20), CD7(19/20), CD8(16/20), CD56(17/20), Granzyme B(5/20), HVEM(19/20), BTLA(4/20)であった(陽性数/検討数)。EBウイルスRNAのin situ hybridizationは全例陰性であった。本邦のEATLはCD8+, CD56+を示すものが多いが腫瘍細胞の大きさにばらつきがあり、欧州のTypeIIと異なった。 Array comparative genomic hybridizationを7例で行い、6例に9q34gain, 19q13lossを認めた。その他1q32, 4p15, 7q34, 8p11, 9q33, 9q22, 12p13, 16q23のgainと3p21, 7p22のlossが高頻度であった。Fluorescence in situ hybridizationでは20例中15例に9q34gainをみた。 TypeI, TypeIIで高頻度な9q34gainを本邦のEATLでも確認した。未だ報告のない染色体領域の異常を認め、欧州例とは異なる異常が本邦のEATL発生に関与している可能性がある。
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