研究課題
若手研究(B)
(1)budding形成大腸がん組織におけるpodoplaninの発現検討大腸がんリンパ節転移に関与するbuddingの浸潤機構解明を目的としてまず、buddingを形成した大腸がん検体約50例の選定を行った。さらに、budding部位における転移関連遺伝子であるpodoplaninの発現を免疫組織染色により検討した。その結果、buddingを形成しない大腸がんでのpodoplaninの発現は認められないが、buddingを形成した大腸がん細胞でpodoplaninの発現が認められた。(2)in vitroおよびin vivo buddingモデルの構築in vitroモデルとして、がん細胞株をコラーゲンを含む培地で三次元培養を行いbudding様の浸潤形態が見られることを確認した。今後は基質や培地を最適化しさらにbuddingに近い形態が見られるよう検討を重ねる。in vivoモデルとしてBalb/cヌードマウスおよびSCIDマウスの皮下にがん細胞株を移植しbuddingを形成した腫瘍が認められるか検討した。明らかなbuddingを形成した腫瘍は見られなかったが今後細胞株の種類を変更、移植の際のプロトコルを最適化しin vivoでbuddingが形成されるモデルの構築を目指す。
2: おおむね順調に進展している
本年度は以下の点で着実に研究を進めた。(1)budding形成大腸がん組織におけるpodoplaninの発現検討大腸がん組織約50例を用いてbudding形成した腫瘍細胞でpodoplaninの発現が亢進している事を明らかにした。podoplaninがbuddingを形成した浸潤へ寄与している事を示唆する結果であり今後の研究を進めるに当たり重要な結果である。(2)in vitroおよびin vivo buddingモデルの構築budding形成により浸潤機構の解明の為にはin vitro及びin vivoのbuddingモデルの構築が必要である。in vitroにおいてbudding様の形態を再現した形態が見られた事から今後検討を重ねることでモデルを構築できると考えられる。また、in vivoモデルは細胞株の変更や移植条件の検討を行う事で構築が可能と考えられる。さらにex vivoモデルの検討も進めており新たなモデル構築の完成は近いと考えられる。
(1)budding形成大腸がん組織におけるpodoplaninの発現検討現在までに約50例の大腸がん組織を検討を行った。今後はさらに症例数を200例に増やし免疫組織染色、臨床病理学的解析を進め特にpodoplaninの発現と予後の相関について解析を行う。さらに免疫組織染色を行った症例の中から3例についてレーザーマイクロダイセクション顕微鏡を用いてbudding部位及びがん中心部の腫瘍細胞、正常粘膜を各々切り出しRNAを抽出しマイクロアレイを用いて遺伝子発現プロファイルを解析する。(2)in vitroおよびin vivo buddingモデルの構築in vitroにおいてbudding様の形態を構築する事ができた。今後はさらにプロトコルの最適化を行いin vitro, in vivo共にモデル構築を完成させる。さらに大腸がん組織を細断し、コラーゲンを含む培地で培養を行うex vivoモデルの構築を新たに行う。現在マウスの消化管を培養し腺管構造を形成するオルガノイド培養に成功している。今後はヒト大腸がん組織を用いた培養を行う。構築されたモデルを用い、(1)の解析結果から同定されたbudding形成因子の分子機構について解析を行う。
当該年度に投稿した論文のうち年度末の3月号に掲載決定となったAmerican Journal of Pathologyの出版に要する費用約50万円が次年度に請求となった為次年度に繰越しが必要となった。American Journal of Pathologyの出版費用に充当する。若干の剰余金が発生した場合は消耗品の購入に充当する。
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