研究課題/領域番号 |
25860303
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
奥村 和弘 千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ・実験動物研究室, 博士研究員 (80584680)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | DMBA/TPA / 多段階皮膚発がん / 日本産野生マウス |
研究概要 |
変異原物質であるDMBA(dimethylbenz(a)anthracene)とTPA(tetradecanoyl-phorbol-acetone) を用いた多段階皮膚発がんモデルは皮膚パピローマ、扁平上皮がんをマウスに誘導する実験系として広く用いられている。申請者は最近、パピローマ、扁平上皮がんに対して抵抗性を与える遺伝子座の探索を日本産野生マウスMSMを用いて行った。その結果、早期パピローマに対してはマウス7番染色体上に、後期パピローマ、扁平上皮がんに対しては4番染色体上にそれぞれ強い抵抗性を与える遺伝子座を検出し、Skin tumor modifier of MSM 1-3 (Stmm1-3)としてCarcinogenesis誌に2012年に報告した。そこで、これらの遺伝子座の候補領域を遺伝学的に狭め、原因遺伝子の同定を行うことを本研究の目的とした。各Stmm遺伝子座領域についてMSM系統にFVB系統を10世代以上戻し交配したコンジェニック系統を合計11系統作製し、それらマウスのDMBA/TPA多段階発がん実験および腫瘍DNAを用いたアレルインバランス解析を実施した結果、7番染色体上の早期パピローマに対する抵抗性遺伝子座Stmm1については約5.4 Mbに4番染色体上の後期パピローマに対する抵抗性遺伝子座のStmm3については25 Mbにまで候補領域を絞り込むことができ、平成26年度にそれぞれPlos one誌およびExperimental Animals誌に掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、特定の遺伝子が原因遺伝子であると強く示唆された場合は、それらのノックアウトマウスやトランスジェニックマウスを作製する予定であったが、すでにノックアウトマウスが存在しており、それらを当研究所に導入済みである。またMSM-BACトランスジェニックマウスもすでに2系統を作製し、導入済みで、本年度には解析にまで着手する予定であるため。
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今後の研究の推進方策 |
現在導入した原因遺伝子の候補である遺伝子のノックアウトマウスおよびトランスジェニックマウスの表現型解析および多段階発がん実験を実施する計画である。またそれらの遺伝子のMSMアレル、FVBアレルをクローニングし、レトロウィルスによるトランスフェクションで正常皮膚細胞や皮膚がん由来細胞に導入し、細胞レベルの挙動を解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度はコンジェニックマウス系統を用いた多段階皮膚発がん実験を実施したが、当研究所のマウス飼育管理費は無料であり、発がん試薬についても持ち合わせていたもので実施できたため次年度使用額が生じた。 今年度は、原因遺伝子の候補遺伝子の解析をノックアウトマウスやトランスジェニックマウスの解析するため、試薬、抗体等の購入に使用する予定であり、インビトロの実験も推進するため、細胞培養に関わる血清や関連試薬の購入にも使用する予定である。また昨年に続き多段階皮膚がん実験も継続するため、発がん剤やディスポーサブルイナ―ケージの購入に使用する予定である。
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