研究実績の概要 |
CXCL14ノックアウトマウスでは肥満で誘導される肥満組織の慢性炎症と、全身のインスリン抵抗性が緩和される。そのシグナル経路は未解明であったが、CXCL14がCXCL12のレセプターであるCXCR4に結合し、そのシグナルを阻害することを昨年発表した(Tanegashima et al., 2013a, b)。今年度はこの発見がどのようにin vivoでの機能と結びつくかについて研究した。まず、前年度より行っているM2マクロファージのマーカー発現解析では、FACSを用いた解析を行った。CXCL14ノックアウトマウスにおいて、M2マクロファージマーカーであるCD206を用いた解析では、M2マクロファージの割合に有意な差は見られなかった。今後は、M2マクロファージの抗炎症性作用に関連するサイトカイン等の他のマーカーについても検討する。また、今年度はCXCL14を過剰に発現する実験系を構築するため、CXCL14を抗体のFcドメインと融合(CXCL14-Fc)させ、安定型のCXCL14を作出することを試みた。これまでCXCL14タンパクを投与する実験を行ったが、血中半減期が短く、濃度を高めることが難しかった。CHO細胞で発現させたCXCL14-Fcは体内安定性も高く、投与実験が可能であることが示唆された。現在CXCL14-Fcについては投与可能なスケールまで精製を行っている。
|