研究実績の概要 |
C型慢性肝炎の病態の進行にはマクロファージが深く関与するがC型慢性肝炎の病態を解析するためのモデル動物がいないためあまり解析されていない。申請者らはpolyIC投与により任意の時期に慢性C型肝炎を呈するモデルマウスを作製し解析を行った。このマウスでは、血清中の炎症性サイトカイン(IL-6, TNFα)が上昇して主にIL-6, TNFαを産生する炎症性M2マクロファージ(M2Mφ)が肝臓で増加していた。このマウスにHCV非構造蛋白質発現組換えワクシニアウイルス(rVV-N25)を作製し接種したところ、接種1週間で肝臓の病態は正常化し、血清中のサイトカインは正常レベルに低下した。さらにFACS解析により肝臓内の炎症性M2Mφ数が減少していることが分かった。次にrVV-N25の作用機序について、接種後いつから、どの段階で、どのように炎症性M2Mφを減少させるかについて解析を試みた。はじめにrVV-N25接種により肝臓内M2Mφの多臓器のへの移動について解析した。慢性C型肝炎を呈するモデルマウスにrVV-N25を接種し、1週後に採材したところ、肝臓は正常化しており血清中のIL-6, TNFαが低下していた。FACS解析したところ、肝臓および脾臓に存在していたIL-6, TNFα産生M2Mφは減少し、脂肪組織で増加していた。M2MφマーカーのCD206、F4/80陽性細胞を肝臓および脂肪組織で免疫染色したところ、FACSの結果同様に肝臓では減少し、脂肪組織では増加していた。rVV-N25は肝臓内のIL-6, TNFα産生 M2Mφ減少させることで炎症性サイトカインを減少し、C型慢性肝炎を正常化させる事が示唆されたがその機序については不明である。そこでrVV-N25接種後の炎症性M2Mφの体内動態解析を行った。C型慢性肝炎モデルマウス脾臓からCD11b陽性細胞を分離しFITC 標識F4/80抗体で染色後にC型慢性肝炎モデルマウスに移入したところ肝臓でFITC陽性M2Mφが検出された。今後rVV-N25接種により経時的に体内動態解析をFACSにより解析を行う。
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