研究課題
前年度から引き続き、IL-1βのアンチセンス鎖にコードされるlong non-coding RNA (lncRNA)による炎症性サイトカインの発現制御について解析した。lncRNAのノックダウンによりIL-6の発現が大きく低下することからNF-kBの活性化およびIkBζの発現誘導を検証したところNF-kBの核移行およびIkBζの発現は正常であった。コントロール細胞およびlncRNAのノックダウン細胞の遺伝子発現をマイクロアレイにより解析し、ノックダウン細胞において発現が半分以下になる遺伝子についてその上流の転写因子の結合エレメントを解析したところSterol regulatory element bunding factor(SREBF)やAP1ファミリー、Bcl6の結合エレメントがenrichされた。以上のことからNF-kBの活性化とは非依存的な制御機構が存在することが示唆された。次にlncRNAの細胞内局在をRNA Fluorescence in situ hybridization法により解析したところ、その多くが細胞質にドット状に存在することが明らかになった。また、lncRNAのノックダウンによる炎症性サイトカインの発現抑制は血清飢餓によりキャンセルされることを見出した。以上のことから炎症性サイトカインの発現制御において、このlncRNAが血清飢餓により誘導される細胞質内での活性化機構を制御することが示唆された。さらに生理的な意義を明らかにするためにCRISPR/Cas9システムを用いたノックアウトマウスの作製に成功し、炎症性疾患および自己免疫疾患モデルを用いた検証を進めている。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Stem Cells and Development
巻: 24 ページ: 1164-1170
doi:10.1089/scd.2014.0466
SCIENTIFIC REPORTS
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