黄色ブドウ球菌は約3割のヒトの鼻腔に棲む常在菌であるが、病原因子や薬剤耐性遺伝子の水平伝達によって進化してきた重要な病原細菌でもある。 本研究では、黄色ブドウ球菌の遺伝子水平伝達手段の一つ、自然形質転換について研究した。DNA取り込み装置遺伝子を発現させるために必要なシグナル感知・伝達因子群を同定し、さらに本菌が高効率で自然形質転換を起こす環境を明らかにした。また、いくつかの抗生物質が本菌の自然形質転換に影響することを明らかにした。本研究によって、本菌の自然形質転換による進化能力の一側面が初めて明らかとなった。
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