研究課題/領域番号 |
25860320
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
鈴木 智典 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (90453836)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ボツリヌス毒素 / 毒素複合体 / 立体構造 / 血球凝集素 |
研究実績の概要 |
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)は、食中毒の原因となる非常に強力なボツリヌス毒素を産生する。ボツリヌス毒素は5種のサブユニットが結合したタンパク質複合体であり、毒性本体である神経毒素タンパク質が無毒タンパク質群に結合している。無毒タンパク質群のうち、血球凝集素(Hemagglutinin; HA)は3種のサブユニット(HA-17、HA-33、HA-70)から構成されており、毒素が動物に経口摂取された際に腸管に結合し、毒素の生体内吸収の促進に関与していると考えられている。本研究では、菌の培養液上精中の毒素複合体から単離・精製したHA複合体について、HAサブユニット間の相互作用領域をFar western blot法で検討した。この結果をもとに、HAサブユニットの結合部位変異体を作製するなどして残基レベルでの結合部位同定が期待される。さらに、分子動力学計算等のバイオインフォマティクス的手法を用いて、サブユニット単体時と複合体形成時における構造変化の違いを比較するなどの解析を行っている。これらの結果は、ボツリヌス毒素の構造や生体内吸収メカニズムの理解や医療等への応用のための重要な知見になり得ると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的の一つであるHA複合体の立体構造に関する知見は得られているが、申請者の所属が変更し、研究環境が整うまでに時間を要したため、計画に遅れが生じている。今後は、遅れを取り戻しながら、HA複合体の構造や機能に関する実験を進め、HAの有効利用に繋がる成果を目指したい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年に引き続き、HAサブユニットの組換え発現系を構築し、毒性や細胞への作用などを実験するとともに、バイオインフォマティクス的手法による構造解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定よりも安価で購入できたものがあったなどの理由から、全額を使用せずに次年度に持ち越す金額が生じた。次年度請求分と合わせて有効に使用したい。
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次年度使用額の使用計画 |
大腸菌の組換え実験、細胞培養、タンパク質の精製、その他実験で必要となる消耗品の購入に使用する。また、研究協力者との打ち合わせのための旅費や成果発表費用にも使用する。
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