百日咳を引き起こす百日咳菌の病原因子の1つであるBopNは、宿主のIL-10産生を亢進させて免疫応答を抑制するが、IL-10産生が誘導される機構の詳細は未だ不明であるため、本研究ではその解析を目的とした。培養細胞を用いた解析より、BopNの核内移行にはBopNの61-120アミノ酸領域とimportin-beta1が結合する必要があり、この領域を欠失するとIL-10の転写、NF-kappaBの局在変化、ERKのリン酸化などを誘導できなかった。これよりBopNの宿主IL-10産生誘導にはBopNの核内移行が必須で、核内移行によって感染時に生体の免疫応答を抑制状態へ移行させると考えられた。
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