研究課題
本研究では、キノロン耐性結核菌の遺伝子変異検出を基盤とした迅速なニューキノロン感受性試験を可能とするために、キノロンのターケットである結核菌のDNAジャイレース上のアミノ酸置換とキノロン耐性との関係を明らかにすることで結核菌由来DNAジャイレースの立体構造解析から、新規抗結核薬の開発につながる新規キノロン誘導体のデザインを最終的な目標としている。平成27年度は以下の2つの研究を行った。1) 北京株の変異株由来結核菌DNAジャイレースの酵素活性:26年度より得られた変異型 (H37Rv標準株と北京株)の組換えDNAジャイレースを用いて酵素学的諸性質を決定することとともに、キノロン耐性獲得機構との関連について解析を行った。その結果、変異型DNAジャイレースは活性を持つことを確認した。さらにキノロンを加えた阻害実験を行った結果、キノロン耐性決定領域(QRDR)外側に存在している2つのアミノ酸残基(74番と95番目のアミノ酸残基)がキノロン耐性獲得に重要な役割を果たしていることを明らかにした。2) 北京株由来結核菌DNAジャイレースの結晶化:26年度より得られた野性型DNAジャイレース(H37Rv標準株及び北京株)の結晶を用いて高エネルギー加速器研究機構においてX線回折データの収集を行った。回折データから結晶学的諸性質と統計値を求めた結果得られた結晶は立体構造の決定に適していることが示された。そこで、すでに報告されている結核菌標準株(H37Rv株)由来GyrA(N末部分)を用いて、分子置換法による北京株由来GyrA(N末部分)の立体構造決定を行った。CCP4プログラム、並びにPHENIXプログラムを用いてモデルの構築と精密化を行い、最終的に2.1Åの分解能で北京株由来GyrA(N末部分)の立体構造を決定した。決定した北京株由来GyrA(N末部分)の立体構造をH37Rv株由来GyrA(N末部分)の立体構造と比較すると、N末端部分の構造が異なっていることを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
Drug testing and analysis
巻: in press ページ: in press
DOI: 10.1002/dta.1937
Journal of infection and chemotherpy
巻: 21;8 ページ: 604-609
DOI: 10.1016/j.jiac.2015.05.003