研究概要 |
本課題では、平成25年度に「Ag85B抗原及びアミノ化ミコール酸(MA)分子の作製と確認」と「Ag85B-MA融合分子の作製と免疫活性化能の評価」の実施を計画していた。抗原Ag85Bに関しては大腸菌発現系を用いて高効率にAg85B抗原を作製する事に成功したが、アミノ化MA分子の作製に関しては想定外の問題が生じた。具体的には、MAとN-(6-aminohexyl)-2,2,2-trifluoroacetamide(Hx-TFA-amine)の縮合反応は効率良く反応が進んでいることが薄層クロマトグラフィーで確認されたのだが、その後のNaOHを用いたTFA基の脱保護反応が上手く進行しなかった。本反応では、水系溶媒の温和な条件でのみ反応が進むことが判明しており、反応に用いた保護体は親油性度が非常に高かった為、反応が進まなかったと考えられた。また、反応効率を上げるために高温化での本反応を行った結果、前ステップで縮合したアミド基が分解し原料であるMA及びHx-TFA-amineに戻ってしまうことがTLC分析により確認された。従って、本反応でアミノ化MAを得ることを断念し、新たにスキームを再構築した。この新規の作製法では、まずジフェニルリン酸アジド試薬を用いてMAのカルボキシ基部分へのイソシアナート化(Ninomiya et al., Tetrahedron 1974, 30, 2151-2157.)を行い、その後、加水分解によりカルバミン酸を経てアミノ基への置換を試みた(MA-amine)。その結果、作製したMA-amineは薄層クロマトグラフィー、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析そしてリポソーム化時のΖ電位の陽転により正しくアミノ化されている事が確認された。
|