本課題では、平成25年度に「Ag85B抗原及びアミノ化ミコール酸(MA)分子の作製と確認」と「Ag85B-MA融合分子の作製と免疫活性化能の評価」の実施を、平成26年度には「Ag85B-MA融合分子ワクチンの感染防御効果の確認」の実施を計画していた。この計画に基づいて研究を推進した結果、平成25年度には「Ag85B抗原及びアミノ化ミコール酸MA分子の作製と確認」を完了し、平成26年度には「Ag85B-MA融合分子の作製と免疫活性化能の評価」を完了した。 平成25年度にアミノ化MA(MA-amine)の作製および同定に成功したため、平成26年にAg85B-MA融合分子の作製に取組んだが融合分子形成確認の工程が難航し、想定していたよりもスケジュールに遅れをきたした。Ag85Bの発現およびMAをリポソームに内包させて可溶化した分子(MA/Liposome)の作製は完了していたため、MA転移酵素であるAg85BとMAを水系溶媒中で混和することにより、酵素/基質の関係に起因する融合分子様の状態が形成される可能性を考え、Ag85B/MA/Liposomeのマウスへの免疫実験を行った。その結果、Ag85B/MA/Liposomeの免疫によって高効率に血中抗Ag85B抗体が誘導されることが判明した。一般的なモデル抗原である卵白アルブミン(OVA)とMA/Liposomeを混和した液の免疫では、抗OVA抗体の誘導は殆ど確認されなかったため、MA転移酵素であるAg85BとMAは、脂質であるMAを可溶化した状態で各々の分子を混合することによって酵素/基質の関係に起因する親和性を示し、その結果MAのAg85Bに対するアジュバント活性が効果的に発揮される可能性が示唆された。
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