研究課題/領域番号 |
25860342
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
浦田 秀造 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (20614449)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ウイルス |
研究概要 |
1. ラッサウイルスのリバースジェネティックス法作製のために、ヒトポリメラーゼIまたはげっ歯類ポリメラーゼIの下流にウイルスゲノムの非翻訳領域及びレポーター遺伝子を挿入したプラスミド、ウイルスゲノム複製に必要なラッサウイルスNP発現プラスミドを作製した。 2. ラッサウイルスZのC末端に低分子レポータータンパク質であるNano Luciferase (NLuc)を付加したプラスミド (pC-LASV Z Nluc)を作製し、培養細胞を用いてZ-Nlucが発現し、更に細胞外に放出されることを確認した。 3. ラッサウイルスの感染実験はBSL-4でのみ可能であり、そのため感染モデルウイルスとしてリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス (LCMV)をBSL-2で用いるが、LCMVのZを検出するポリクローナル抗体を作製した。この抗体を用いて、ウェスタン・ブロット法及び蛍光抗体法にてLCMV Zを感染細胞から検出できることが判明した。 4. ラッサウイルスZは99アミノ酸より構成され、細胞内単独発現でウイルス様粒子 (VLP)を作製する。ウイルス様粒子形成及び出芽過程において、アミノ酸2番がミリスチル化され細胞膜に結合することが重要であることが知られている。我々はさらにアミノ酸3-10番目もZのミリスチル化に影響することを明らかとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. ラッサウイルスリバースジェネティックス法にはレポーター発現ウイルスゲノム由来非翻訳領域含有のプラスミド、NP発現プラスミド、及びL (ウイルスポリメラーゼ)発現プラスミドが必要である。この内、2つは作製し、残りはLのみである。その後の細胞への導入、条件検討が必要ではあるが概ね順調である。 2. Z-Nlucを作製し、細胞外に放出されることを確認した。今後に詳細な解析によりこの放出がウイルス様粒子によるものかどうか確認する必要があるが、概ね順調である。 3. LCMVに関してはZに対する有用な抗体が得られたことによって、本年度のZの細胞内輸送が行える点で順調に進展していると考える。 4. ラッサウイルスZによるVLP産生の系を用いてVLP産生機構の一端を明らかとした。 以上より、本計画はおおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度はまずラッサウイルスL (ポリメラーゼ)をクローニングし、リバースジェネティックス法を確立する。また、ラッサウイルスZの細胞内イメージングを可能とするため、Nlucのみならず、他のイメージング技術の情報を収集し、本課題に応用可能かどうか検討する。LCMVを用いた研究においてはRabなどの細胞内器官マーカーを市販の抗体等で染色し、感染後経時的にLCMV Zとの局在を観察することで、Zの輸送経路を明らかとする。ラッサウイルスを含むアレナウイルス科のZはウイルス粒子形成において中心的な役割を果たすことが知られているが、すべてのアレナウイルスZはミリスチル化されることで細胞膜と結合し粒子形成を開始する。そこでこのミリスチル化の分子機構を詳細に検討する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究を滞らせないための消耗品等の購入のため。 細胞培養のための培地他、研究を滞らせないための消耗品の購入。
|