ラッサウイルス (LASV)はヒトに出血熱を引き起こすウイルスで、我が国で感染症法においてI種病原体等に分類されている。LASVに対するワクチンはなく、リバビリンが抗LASV効果を示すがその効果は限定的で副作用も高い。そのため、LASVの分子生物学的解析を通して、新規抗LASV薬の開発が急務となっている。 申請者は本研究期間を通して、 1. ラッサウイルス (LASV) ZのC末にNanoluciferase (Nluc)遺伝子を付加した発現プラスミドを作製し (H25年度)、このプラスミドを用いてA549細胞にてLASV Z-Nlucが恒常的に発現する細胞株を作製した (H26年度)。今後、この細胞株を使用することで新規抗LASV化合物の同定が期待される。 2.H25年度にはウイルス粒子形成・出芽過程において中心的な役割を果たすLASV Zの3-10番目のアミノ酸がZのミリスチル化において重要であることを示した。H26年度は、これに加え、LASV GPCがLASV Zの粒子形成に作用し、Zの細胞内局在を後期エンドソームに有意に誘導することを示した。さらに、LASVのモデルウイルスとして使用されるLCMVを用い、LCMV感染においてもZがCD63 (後期エンドソームマーカー)と共局在することを確認し、Zの細胞内局在がLASVと同様であることを確認した。この際、H25年度に作製した抗LCMV Z抗体を使用した。 以上の研究成果は今後の抗LASV化合物同定及び開発のための有用な知見であると考えられる。
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