• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

胸腺髄質上皮細胞による負の選択制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25860363
研究機関徳島大学

研究代表者

毛利 安宏  徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教 (80464353)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードAire / 負の選択
研究実績の概要

我々が樹立したAire/mOVA-KIマウスをAire-KOマウスと掛け合わせて解析したところ、mOVA-KIマウスにおけるOT-IおよびOT-II T細胞の負の選択はAire欠損状態でも障害されなかった。また、OT-II TgでかつMHC classII-KOマウスの骨髄をAire/mOVA-KIに移植したところ、胸腺髄質上皮細胞(mTEC)の抗原提示のみで負の選択を誘導でき、このmTECによる負の選択もAire欠損によって障害されなかった。この結果は、Aireの有無はmTECの抗原提示能に影響しないことを示 唆している。Aire欠損下における骨髄由来APCの抗原提示能の評価をRIP/mOVA-Tgの胸腺におけるmOVA/MHC classIIの提示は主に骨髄由来APCによって担われている。加えてRIP-TgにおけるOT-II T細胞の負の選択がAire欠損によって障害されることから、Aireは骨髄由来APCの抗原提示能を制御していることが推察される。しかし、RIP-TgやAire/mOVA-KIなどのモデル抗原発現系を用いた場合、mTECの抗原提示を完全に排除した状態で負の選択を評価することは極めて困難である。そのために、mTECのみがMHCを欠損した新しいモデル動物を樹立しなければいけない。そこでOVAを提示しているDCを移入して負の選択を誘導する実験系を用い、その負の選択がAire欠損によって障害されるかどうかを検討した。すなわち、Aire-KOマウスにCD45.1マウス/OT-II Tg(CD45.2)マウスの mixed BMTを行い、2 週後OVAペプチドを添加したsplenic DCをBMTレシピエントに投与した。さらにその3日後、各レシピエントマウスの胸腺細胞をFACSで解析し、AireがmTECからDCへの抗原受け渡しを制御しているかどうかを評価した。その結果、RIP-TgではmTECからDCへの抗原の受け渡しが必要であるのに対して、我々の樹立したAire/mOVA-KIマウスではmTECから抗原が直接提示され、T細胞の負の選択が誘導出来るモデルであることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我々が新規に樹立したAire/mOVA-KIはモデル自己抗原であるOVAを発現し、OVA特異的T細胞の負の選択に寄与することが明確になった。今後は、本モデルマウスを用いて、より詳細な研究を行う。

今後の研究の推進方策

RIP-OVAと我々の樹立したAire/mOVA-KIとの相違点が明確になったので、今後は負の選択機構におけるAire依存性の違いが何によるかを明確にすることで、Aireの負の選択における役割を明らかにする。さらに、Aire依存的負の選択を担うmTECのsubsetを同定する作業にも着手し、自己寛容成立機構の全貌解明を目指す。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] NIK in thymic stroma establishes central tolerance by orchestrating cross-talk with not only thymocytes but also dendritic cells2014

    • 著者名/発表者名
      Mouri, Y., Nishijima, H., Kawano, H., Hirota, F., Sakaguchi, N., Morimoto, J., Matsumoto, M.
    • 雑誌名

      J. Immunol.

      巻: 139 ページ: 4356-4367

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1400389

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Unexpected disturbance of the development of medullary thymic epithelial cells at immature stages by the long-term ablation of mature Aire-expressing cells2014

    • 著者名/発表者名
      Kawano, H., Morimoto, J., Mouri, Y., Nishijima, H., Nishioka, Y., Matsumoto, M.
    • 学会等名
      第43回日本免疫学会総会
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都府・京都市)
    • 年月日
      2014-12-10 – 2014-12-12
  • [学会発表] Approaches to identify Aire-regulated non-tissue-restricted antigen genes by the ectopic expression of Aire in thymic cortex2014

    • 著者名/発表者名
      Nishijima, H., Morimoto, J., Mouri, Y., Kawano, H., Ikuta, K., Matsumoto, M.
    • 学会等名
      第43回日本免疫学会総会
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都府・京都市)
    • 年月日
      2014-12-10 – 2014-12-12
  • [学会発表] Ectopic Aire expression in thymic cortex reveals inherent properties of Aire as a stromal factor for medullary thymic microenvironment2014

    • 著者名/発表者名
      Nishijima, H., Morimoto, J., Kawano, H., Mouri, Y., Ikuta, K., Matsumoto, M.
    • 学会等名
      ThymOz 7
    • 発表場所
      Heron Island (Australia)
    • 年月日
      2014-04-02 – 2014-04-07

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi