研究課題
本研究課題では、末梢 CD4 T 細胞の運命決定機構における転写抑制因子 Bach2 の役割を明らかにすることを目的としている。平成26年度はヘルパーT細胞(Th)サブセット分化における Bach2 の役割を解析した。Bach2 は Th2 サイトカイン(特に IL-4)産生を直接抑制し、Th2 分化を阻害していることが明らかになった。そこで、平成 27 年度は、Bach2 による IL-4 産生制御機構について検討を行った。Bach2 は DNA 結合領域を有していないため、DNA 結合にはパートナー分子が必要である。そこでコムギ無細胞蛋白合成系とアルファスクリーンによるハイスループットスクリーニング法を用いてBach2結合蛋白質の探索を行ったところ、転写調節因子 Batf ファミリー (Batf1、Batf3) と会合することを見いだした。これに加えて、Th2 サイトカイン遺伝子座の locus control region や IL-4 enhancer 領域に Bach2 と Batf が結合していることがわかった。また、Bach2 欠損活性化 T 細胞において Batf の発現が上昇することも明らかになった。続いて、T 細胞特異的 Bach2 欠損による Th2 型免疫反応の亢進における Batf の役割を検討した。T 細胞特異的 Bach-Batf 二重欠損マウスでは、T 細胞特異的 Bach2 欠損マウスで発症する気道炎症の病態が改善した。また、Bach2 欠損活性化 T 細胞のIL-4 産生の増加、Th2 細胞分化の亢進がBatf 欠損により抑制された。これらの結果から、Bach2-Batf 複合体は IL-4 産生を抑制し、Th2 細胞分化を阻害していることが明らかになった。現在、これらの成果をまとめ、論文投稿中である(論文リバイス中)。
愛媛大学大学院医学系研究科免疫学ホームページhttp://ehime-u-immunology.com/
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Immunology
巻: 147 ページ: 476-487
10.1111/imm.12580