研究実績の概要 |
不活化インフルエンザワクチン接種により長期に維持される血中抗体の産生源である長期生存型抗体産生細胞がワクチン接種によって同時に形成される記憶B細胞、特にその中でもCD273陽性の記憶B細胞サブセットによって供給、維持されていることを明らかにしてきた、更にこのCD273陽性記憶B細胞サブセットが如何にして長期生存型抗体産生細胞の供給、維持に関わるのか、その遺伝子発現を他の記憶B細胞サブセットと比較解析したところ、ZBTB20, ZBTB32, Smyd2等の転写因子群が特異的に発現上昇している事を明らかとした、これらの遺伝子は長期生存型抗体産生細胞での発現上昇、またその分化に関与している事が報告されているが、記憶B細胞サブセットにおいて発現し、長期生存型抗体産生細胞を供給する上で必要かどうかに関しては明らかになっていない。平成27年度ではこれらの転写遺伝子群のうち、何が実際に長期生存型抗体産生細胞の供給に関わっているのかを明らかにするため、in vivo スクリーニングシステムを立ち上げた。つまり目的の遺伝子を誘導発現型レンチウイルスベクターに導入し、マウスの脾臓由来B細胞に遺伝子導入した後マウスに移植し、ワクチン接種後の遺伝子導入B細胞の動態を追跡し、長期生存型抗体産生細胞の維持、供給割合に差が出るかどうかを比較解析した。しかし、これまでのところ、その供給割合、維持に顕著に関わる遺伝子の特定に至っていない。現在、長期生存型抗体産生細胞の維持、供給に関わる遺伝子を特定するためのより機能的なin vivoスクリーング方法を立ち上げており、今後の結果が期待される。
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