研究課題/領域番号 |
25860378
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
寺下 貴美 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 助教 (30506241)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 問題解決型学習 / 放射線技術学教育 / セマンティック・ディファレンシャル法 |
研究概要 |
本研究は放射線技術学教育に問題解決型学習を導入するため、まず評価指標を開発し、さらに問題解決型学習の実践を試み、教育効果を評価する。 問題解決型学習は臨床事例を基に必要な知識の習得と応用、チームワークやコミュニケーション等の問題解決能力を得る学習法である。これは医学教育等では既に導入されているが、放射線技術学教育では報告が少ない。また問題解決型学習の教育評価は従来、学生の意見や感想等で行われてきたが、学生が調査者に良い印象の意見を答えようとしてしまうこと(追従バイアスの影響)で、適確に評価できない場合がある。 そこで本研究では評価指標としてSemantic Differential(SeD)法が相応しいと考えた。SeD法は、相反する形容詞のペアで構成された複数の設問を用意し、対象に当てはまる度合いを回答させ、結果を因子分析することで、対象の概念を明らかにする。問題解決型学習の実践によって学生がそれに伴う行動変容を起こすと仮定すると、実践の前後で学生の持つ概念が変化し、これを測定することで問題解決型学習の教育効果を測定できると考えた。 本研究では評価の範囲を一般X線撮影に限定した。まず評価指標の開発として、X線撮影に対する概念を特定するSeD法の質問を用意し、これが測定対象の概念を測定できているかどうかを検証した。本学放射線技術科学学生に対し、X線撮影の概念を特定する調査を行い、3つの概念(期待感、責任感、抵抗感)を特定した。また同じ質問群を用いてCTとMRIについて調査し、X線撮影と異なる結果が得られたことから、用意した質問群がX線撮影に対して特異的であることを確認した。次に学生の概念が大きく変化することが予想される臨床実習の前後に同調査を行い、概念が変化することを確認した。従ってSeD法を用いた調査によって概念を特定でき、その変化から教育効果を評価できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は、本学大学院保健科学研究院は新棟建設および耐震改修を行っており、研究室を退去する必要があった。本研究では評価手法の開発のために、評価項目のWeb入力システムを構築する計画であった。しかし上記理由により仮研究室であったために、サーバの構築および設置ができなかった。これにより評価指標のデータを広く他の施設から得ることができなかったため、計画としてやや遅れている状況である。 そこで一昨年度から引き継いでいるデータを用いて、指標の評価の一部を行った。また次年度計画を前倒しし、問題解決型学習の導入計画、および一部実施を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はWebシステムを早急に構築し、データを収集できる状態を整える。この後、評価指標の妥当性を確認するために計画していた、本学科内他専攻の学生を対象としたデータ収集、および全国調査を実施する。これにより評価指標として確立することを行う。また本専攻の学生を対象に問題解決型学習の実践と作成した指標での評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はデータの分析を行うため、分析専用のPCを必要とする。研究の進捗によって紙の質問紙が必要となる場合は印刷等の費用が必要となる。また学会発表および論文執筆のための費用が必要となる。 4月に分析専用PCを購入する。また現在報告を計画している学会は第42回日本放射線技術学会、および第34回医療情報学連合大会等である。論文は作成中が2篇(英文1篇、日本語1篇)、データ収集、分析によって執筆可能となるものが1篇ある。論文は準備ができ次第、投稿していく。
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