研究課題/領域番号 |
25860385
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
浦松 雅史 東京医科大学, 医学部, 講師 (00617532)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 医療事故 / 被害者 / 訴訟 / 情報 / 開示 |
研究実績の概要 |
本年度は,昨年度準備した調査票を,医療事故被害者及び家族に対して配布し,回収を始めた。
具体的には,以下の二つの経路で配布した。 一つ目の経路は,医療事故被害者の団体(医療事故原告の会)の会員たる被害者・家族,研究協力者である鈴木利廣弁護士より紹介された医療事故被害者・家族,及び,これらの被害者・家族から紹介された被害者・家族に対して送るというもので,この経路で調査票を約350部配布した。別の経路は,医療過誤訴訟の患者側代理人たる弁護士を通じて,その依頼者へ配布するというもので,この経路で調査票を約350部配布した。 現在,これらの配布に対して,回答が約120通返送されてきている。目標回答数は200通であるため,研究の延長を申請し承認されたことから,アンケート調査の締め切りを延長し,さらに被害者・家族,弁護士へ協力を依頼している段階である。 今年度は,回答を取りまとめ,統計的な処理を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においては、以下の各点を明らかにする予定である。すなわち,①医療事故に際して、医療従事者らが事故情報を提示することを最も妨げている要因はどのようなものであるのか。②医療従事者らが医療事故に関わる情報を提示するに際して、どのような時期に、どのような内容の情報を提示することが可能であり、また現実的であるか。③医療事故に関わった患者らは、どのような時期に、どのような内容の情報を最も求めているか。④これらの患者らが、事故に関わる情報を十分に得られない場合に、どのような感情を保持し、また、どのような行動を取ることになるのか。 現在,実際の医療事故被害者・家族に対して,上記の各点に関する質問を含むアンケート調査を実施している。このアンケート調査は,昨年度までに終了する予定であったが,さらに回答数を増やすことで研究の質を上げようと考え,今年度も延長して実施している。延長したとはいえ,すでにアンケート調査用紙は配布しており,被害者・家族からの回答を待っている段階である,概ね順調に調査は進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,200件の回答をもとに,医療事故発生時・発生後の医療事故被害者・家族の意識を科学的に分析することで,被害者・家族が何を求めているか,何に不満を持っているかを明らかにすることができる。この結果により,医療事故発生時・発生後に,医療従事者・医療機関が取るべき対応が明らかとなる。 これらの結果により,Open Disclosureの求める医療事故発生時・発生後の「組織的対応」の,わが国に適合した形を明らかにすることが出来る。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査の開始日時が年度末に近かったことから,年度内で回収できた回答数が目標に達しなかった。そのため,年度を越えて再度アンケート調査用紙を配布することになった。この再度の配布,回答の受け付けを行うための事務局開設に係る費用の確定が次年度となるために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
アンケート調査配布のための郵送,印刷のための費用,及び,問い合わせへの対応及び回答を回収するための事務所設置費用として使用する。また,昨年度利用予定であった研究成果とりまとめに係る費用として使用する。
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