研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、がん医療における情報支援をモデルとして、心理特性・臨床的背景を踏まえた実臨床で活用できる意思決定支援ツールの方向性を明らかにするものである。初年度は、患者を対象に情報入手指向性と性格特性との関連を検討した先行研究「患者・家族・国民の視点に立った自立支援型がん情報の普及のあり方に関する研究(厚生労働科学研究費補助金、研究代表者:渡邊清高、H21-3次がん-一般-015)」で得られた調査データのサブ解析を行い、情報入手指向性に関連する因子の抽出や因子間の関係を検討した。全国16施設のがん診療連携拠点病院・中核病院においてがんと診断された723名の患者を対象に、情報のニーズと性格特性(Mental Adjustment for Cancer Scale, Hospital Anxiety and Depression Scale)、臨床的背景との関連性を検討した結果、患者の情報ニーズは、性別や年齢、がん種、Stageなど幅広い因子の影響を受けていた。特に、女性では男性に比して手記や心理社会的支援などに関する情報を求める傾向があり、求める情報の量や幅は、不安傾向の強い者ほど多かった。がん患者における情報入手指向性には多因子の関連性が認められることから、今後、特定のがん領域でモデルケースを作成し、患者の性格特性を踏まえた情報提供と意思決定支援ツールの導入について、実現性や医療者視点でのニーズ、Outcome設定等に関する検討を行うこととする。
2: おおむね順調に進展している
サブ解析を通して、情報入手指向性に関連する因子の同定を行うことに若干時間を要したが、得られた結果を踏まえて、今後、医療者側へのヒアリング等を含めた検討を進める。
がん医療に従事する医療者を対象に、意思決定支援の現状分析や、臨床場面で応用できる支援ツールに関する医療者視点でのニーズや導入の実現性に関する検討を行う。
サブ解析に若干の時間を要したため、ヒアリング調査等については平成26年度に行うこととし、未使用額は主にその経費(旅費、人件費、機材等)に充てることとしたい。ヒアリング調査および会議実施に伴う旅費支出、記録データ作成のための人件費のほか、学会発表のための旅費の使用予定がある。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
日本小児血液・がん学会雑誌
巻: 50 ページ: 92-99