研究課題
若手研究(B)
超音波診断・治療への微小気泡の応用に関して、粒子径や構成殻成分などが異なる微小気泡を用いた系統的な特性評価に関する研究はほとんど進められていない。そこで本研究では、超音波診断・治療に適した微小気泡の開発に向けた基礎的検討の第一段階として、同一構成殻成分からなる、粒子径の異なる微小気泡調製法を開発した。さらに、粒子径の異なる微小気泡を用いて超音波造影効果や超音波遺伝子導入効率におよぼす微小気泡の粒子径の影響について検討した。まずはじめに、調製した微小気泡の粒子径、パーフルオロプロパン保持量、安定性などの特性評価を行った。その結果、粒子径とパーフルオロプロパン保持量との間に相関性が認められ、粒子径が大きいほどパーフルオロプロパン保持量が大きくなることが判明した。さらに、粒子径の異なる微小気泡の超音波造影能について評価した。その結果、超音波造影輝度に一貫した粒子径の影響は認められなかった。一方で、超音波造影輝度の持続時間は、粒子径が大きくなるにしたがい延長した。このことから、超音波造影にはある程度大きな微小気泡(本研究の条件においては4 µm以上)であることが重要と考えられた。また、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼをコードしたプラスミドDNAを用いた超音波遺伝子導入について検討を行った。その結果、ルシフェラーゼ活性は粒子径の増大にともない低下した。すなわち、超音波治療に用いる微小気泡は粒子径が小さいほうが有利である可能性が示された。これらの結果から、微小気泡の粒子径の制御は、超音波診断・治療を構築していく上で重要な要素であると推察された。
2: おおむね順調に進展している
超音波造影には粒子径の大きな微小気泡が適しており、一方で、超音波遺伝子導入においては粒子径の小さな微小気泡が適していることが示された。これは、超音波セラノスティクスを構築する上で、粒子径の制御が重要な変動因子であることを示唆している。すなわち、超音波セラノスティクスにおける最適な微小気泡の粒子径の模索と粒子径制御を目的とする本研究の重要性が示された。また、実験内容としては交付申請書に記載された予定通り順調に進展していることから(2)おおむね順調に進展しているとした。
これまでの研究から、微小気泡の粒子径が超音波造影・超音波遺伝子導入に影響をおよぼすことが示された。しかし、このような粒子径の違いに基づく共振周波数の影響は考慮していない。そこで、今後は、周波数の影響についても検討する必要がある。したがって、in vivoでのデータ収集よりも、周波数の影響に関する検討を進め、微小気泡の特性を評価することが優先と考えている。
ナノ・マイクロバブル調製用 材料費・消耗品費において、研究室のストックを使用して実験を行い、まだ購入・補充していないため。また、ガスクロマトグラフィ関連消耗品費に関しても既存のカラムを使用しており、まだ購入・交換をしていないため。実験に使用したナノ・マイクロバブル調製用材料・消耗品、ガスクロマトグラフィ関連消耗品を購入する
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http://www.teikyo-dds-lab.com/