研究課題
超音波診断・治療への微小気泡の応用に関して、粒子径や構成殻成分などが異なる微小気泡を用いた系統的な特性評価に関する研究はほとんど進められていない。そこで本研究では、超音波診断・治療に適した微小気泡の開発に向けた基礎的検討の第一段階として、同一構成殻成分からなる、サイズの異なる微小気泡調製法を開発した。本方法により調製したサイズの異なる微小気泡を用いて、超音波造影能と超音波遺伝子導入能を評価した。超音波造影能について評価した結果、一定以上のサイズの微小気泡において、超音波シグナル消失速度の低下が認められた。これは、一定以上のサイズの微小気泡の安定性が高いためと考えられた。次に、超音波遺伝子導入について評価した結果、サイズの小さな微小気泡において、遺伝子発現量が高く、サイズの増大に伴い、遺伝子発現量は低下した。これらの結果から、微小気泡粒子径制御は超音波診断・治療に大きな影響与える重要な因子であることが示された。次に、安定な微小気泡の設計を目的として脂質組成の影響について検討した。DMPC、DPPC、DSPCの3種類のリン脂質からなる微小気泡を調製し、その特性と超音波造影・超音波遺伝子導入におよぼす影響を検討した。その結果、DSPCからなる微小気泡において、パーフルオロプロパン保持量の増加と安定性の向上が認められた。さらに、遺伝子導入について評価した結果、DSPCからなる微小気泡において、最も遺伝子発現量が多く、DPPC、DMPCの順に低下した。このように効果的な遺伝子発現が認められたのは、DSPCからなる微小気泡が安定に存在することで、効果的な遺伝子導入が可能だったと考えられた。以上の知見をもとに、DSPCからなる微小気泡の凍結乾燥製剤化について検討した。その結果、サイズやパーフルオロプロパン保持量などの特性に影響を与えず、凍結乾燥可能な調製方法を確立した。
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http://www.teikyo-dds-lab.com/