研究課題
ファブリー病は、リソソーム性加水分解酵素であるα-ガラクトシダーゼA(GLA)の活性低下により、基質である糖脂質が細胞に蓄積する遺伝病である。我々は、ファブリー病の新規酵素補充療法薬の候補として、α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ(NAGA)の基質認識部位のアミノ酸残基を置換し、GLA活性を有するようにした改変型NAGAを開発した。本研究では、改変型NAGAと同時投与することで改変型NAGAを安定化し、その治療効果を増大させる化合物を同定し、その効果を解析することとした。本年度は、昨年度選出した改変型NAGAの阻害剤から、in vitroで改変型NAGAの熱安定性を向上させる化合物を選出することができた。そして、この化合物と改変型NAGAをファブリー病モデルマウス由来培養線維芽細胞とファブリー病患者由来培養線維芽細胞に同時添加したところ、改変型NAGA単独添加に比べ、約1.5倍多く改変型NAGAが細胞に取り込まれることを確認した。
3: やや遅れている
細胞に同時添加することで、改変型NAGAの取り込みを増大させる化合物を選出することができた。しかし、本年度はモデル動物に改変型NAGAと化合物を同時投与し、その効果を解析する計画を立てていたが、その投与方法について検討しているため、やや遅れていると考えられる。
選出した改変型NAGAをin vitroで安定化する化合物と改変型NAGAをモデル動物に同時投与し、血中や臓器中で改変型NAGAが安定化されるか解析する。さらに安定化されることが確認された場合、モデル動物に化合物と改変型NAGAを複数回投与し、改変型NAGA単独投与に比べて治療効果が増大するか確認する。
研究の進捗がやや遅れているため、当初その研究に充てる予定であった物品費分、繰越金が発生した。
主に、細胞培養に関わる経費、動物実験に関わる経費、生化学的分析に関わる経費に充てる予定である。また、研究成果を発表するための学会参加費や旅費、論文投稿料に使用する予定で、当初の計画と大きな変更点はない。
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