研究課題
ファブリー病は、α-ガラクトシダーゼA(GLA)の活性低下により、基質である糖脂質が蓄積する遺伝病である。我々は、ファブリー病の新規酵素補充療法薬の候補として、α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ(NAGA)の基質認識部位のアミノ酸を置換し、GLA活性を有するようにした改変型NAGAの開発を行っている。本研究では、改変型NAGAと同時投与することで改変型NAGAを安定化し、その治療効果を増大させる化合物を同定し、その効果を解析することとした。そして、昨年度までに、改変型NAGAに対して阻害作用を示す化合物のうち、細胞に改変型NAGAと同時添加することで、改変型NAGA単独添加に比べ、その細胞内取り込み量が約1.5倍増加する化合物を選出している。本年度は、選出した化合物と改変型NAGAをモデルマウスに単回同時投与し、経時的(1時間後~5日後)に血中及び臓器中(肝臓、腎臓、心臓)の改変型NAGAの酵素活性を測定することで、血中及び臓器中で改変型NAGAが化合物により安定化されているか評価した。その結果、改変型NAGA単独投与と、化合物と改変型NAGAの同時投与の2群間で優位な差は確認されなかった。このことから、選出した化合物による改変型NAGAの安定化効果は、本投与条件では無いと考えられた。このことから、本年度は、選出した化合物をポジティブコントロールとして用いることで、今後新規候補化合物を探索する際に役立つ新規スクリーニング法として、サーマルシフトアッセイ法を用いてTm値を測定する系を構築した。本方法は、多検体を同時に測定できるとともに、従来選出することが難しかった阻害作用を示さないが改変型NAGAを安定化する化合物を選出することを可能とするため、1次スクリーニング法として有用となる可能性がある。また本方法は、他の酵素製剤を安定化する化合物のスクリーニングにも応用可能である。
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