研究課題/領域番号 |
25860403
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
南 勲 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (90644196)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 異所性脂肪 |
研究概要 |
本研究の目的は、肥満者の余分なエネルギーの蓄積装置としての皮下脂肪組織の限界が、本来蓄積しない場所への脂肪蓄積(異所性脂肪蓄積)の引き金となるという仮説をヒトで検証すること、さらには脂肪組織の慢性炎症が異所性脂肪蓄積に至るまでの機構を解明することにある。 この目的を達成するために、初年度は、メタボリックシンドローム発症患者30名に対してdual energy X-ray absorptiometry (DXA)による全身脂肪分布の定量及びバイオインピーダンス法による臍部内臓脂肪面積の測定を実施した(dual scan)。これらの患者に対して、同時に血液検体を採取し、代謝異常関連のパラメータを測定した。これらの検査に加えて、骨密度測定や血管内皮機能検査(FMD)を同時に行い、脂肪分布の異常が間接的に与える影響も含めて評価できるようにした。これらの検査を治療介入前及び6か月後で行い、その変化を評価できるようにするとともに、その際使用した治療薬の違いと各パラメータの変化量の関係を比較した。 筋肉内の異所性脂肪の定量については、当施設の3Tの超伝導MR装置(GE社製Signa HDxt ver.16)を使用して採取した元データを、科研費を使用して購入した専用の解析ソフト(Stephen Provenchar社製LCModel)を用いた結果、測定誤差10%以下の精度で評価可能であることを確認した。 なお、これらの臨床データを採取するために、東京医科歯科大学医学部倫理委員会に研究計画書を提出し、平成25年7月23日に承認を受けている(第1573番)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)筋肉内異所性脂肪を測定するためにMR spectrographyを実施する予定だったが、健常ボランティアと比較して、メタボリックシンドローム患者の筋肉量は少ないことが多く、測定条件の調整に追加の検討を要した。 2)ヒトの脂肪組織の線維化を病理学的に捉えるためには、軽~中程度の肥満者では困難であることが判明した。 3)内臓脂肪量の経時的な変化をみるために、その都度腹部CT検査を行うことについて、放射線被ばく面での倫理的配慮の必要性を指摘された。
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今後の研究の推進方策 |
1) MR spectrographyの条件検討を行った結果、測定の目途は立った。 2)本年より肥満減量手術が保険収載されたことを受けて、その手術の際に脂肪組織検体を入手する計画に切り替えた。 3)腹部CTによる内臓脂肪測定に変えて、バイオインピーダンス法による測定法を採用した。
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