研究課題
平成27年度は、平成25/26年度の計画を継続し、大腸癌原発巣・肝転移巣サンプルの継続収集、およびGenetic/Epigenetic解析を行った。昨年度に引き続き、原発巣切除を行ったStage II/IIIかつ術後3年以上経過症例、ならびにStage IV症例を中心に遺伝子解析を行っており、MGMT遺伝子解析への追加データを得た。MGMT発現大腸癌株を用いたO-6ベンジルグアニン(O-6BG)の抗腫瘍効果検討では、RK0/HT29を対象として、MGMT拮抗の為の最小O-6BG濃度の検討実験を追加し、抗腫瘍効果発揮を確認し、更にMGMT knock-downを用いてsiRNAによる毒性評価を行った。msiRNA, O-6BGによるMGMT不活化により、G1 arrestを誘導する蛋白発現が確認された。以上を踏まえ、MSI/KRAS/BRAF statusの異なる大腸癌原発巣miRNA解析結果とMGMT不活性化との関連性による予後関連因子同定を行った。
2: おおむね順調に進展している
現在までに収集し、予後追跡調査が完了した大腸癌原発巣、ならびに肝転移巣サンプルは200例を越えており、これらサンプルを対象とし、MSI/KRAS/BRAF status及びMGMT promoter領域を中心としたGenetic/Epigenetic Prognostic marker候補群の遺伝子解析を行い、後方視的に臨床病理結果・臨床予後・薬剤感受性との比較検討を行った。更に大腸癌細胞株を用いたO-6ベンジルグアニンの抗腫瘍効果についての検討は既に終了しており、昨年度より追加したサンプル解析・実験結果をもって、達成度は75%と考えている。
MSI/KRAS/BRAF statusの異なる大腸癌原発巣・肝転移巣を用いたmiRNA網羅的解析による新規Biomarkerの探索を行う研究であるが、26年度に得られた結果を基に更に詳細な検討を行う予定である。また新規大腸癌治療法の樹立に向けて、MGMT発現を中心とした大腸癌株で認められたO-6BGによる抗腫瘍効果については、in vivo研究も追加して行う方針とし、O-6BG単剤、および既存殺細胞剤や分子標的治療薬との組み合わせによる効果を検証していく。更に25/26年度の解析にて選別されたmiRNA Biomaekre候補につき個々にReal-time PCRの設定を行う。そして臨床検体からmiRNAを抽出しReal-time PCRによるmiRNA Biomarker候補の検出を行い臨床病理学的データと照らし合わせて実践導入可能なPredictive/Prognostic Biomarkerの意義を検討する。これら結果に関する論文は、27年度末までに論文投稿できる形に仕上げる予定である。
大腸癌原発巣・肝転移サンプル収集、及びGenetic/Epigenetic解析を行う中で、リアルタイムPCR、細胞培養に用いる試薬・抗体購入を予定していたが、予定よりも少ない量で順調に結果が得られたために、次年度繰越研究費が発生した。
今後、既存札細胞剤・分子標的薬併用についての基礎実験、及びin vivo実験実施にあたり費用がかかるために、繰越研究費を充てる予定である。
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