研究課題
1.Cubilin発現細胞を用いて、Apolipoprotein A-I (Apo A-I)の糖化修飾がCubilinとApo A-Iの結合にどのような影響を及ぼすか検討した。当初予定していたマウス胎児テラトカルシノーマ細胞F9は培養条件が整わず使用しにくかったため、同様にCubilin発現の見られるヒト近位尿細管不死化細胞HK-2を用いて実験を行った。HK-2細胞にApo A-Iおよびメチルグリオキサール(MG)修飾Apo A-I(糖化Apo A-I)を添加し、その後Alexa555標識apo A-Iを添加して競合させることで、その結合能を解析した。本実験系では、13 μg/mL Apo A-Iが0.5 μg/mL Alexa555標識Apo A-Iの結合を完全に阻害できたが、13 μg/mL 糖化Apo A-Iも同様にAlexa555標識Apo A-Iを阻害し、糖化の有無による差は見いだせなかった。しかしながら、競合させるApo A-I濃度を13 μg/mL以下の濃度とし、さらに細かく検証することで本実験を結論づける。2.SDラットに高脂肪食(脂質含有量32%)を4週間負荷し、その際のCubilin発現および尿中Apo A-I濃度の変化を観察した。また腎保護薬テルミサルタン(TLM)投与群を用意し、その効果を検証した。4週間高脂肪食負荷ラットは、体重の増加傾向、インスリン抵抗性(OGTT試験)、血中高分子アディポネクチンの増加傾向が確認でき、TLM処理は体重増加と血中高分子アディポネクチン濃度上昇傾向を改善した。この時、尿中アルブミン濃度およびApo A-I濃度の上昇は確認されなかった。また、腎Cubilin発現量にも差が見られなかった。4週間高脂肪食負荷ラットでは、インスリン抵抗性と脂肪蓄積によるアディポサイトカイン異常が確認されたが、一方でその影響は腎Cubilin発現に影響する程度でなく、またApo A-I尿中排泄が亢進するステージとはならなかった。Apo A-Iの排泄は、より高血糖状態の持続しApo A-Iの糖化が亢進するステージで観察できるものと考えられる。
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