研究課題/領域番号 |
25860416
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
森下 総司 順天堂大学, 医学部, 助教 (10635866)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 遺伝子変異検出 / 骨髄増殖性腫瘍 / 真性赤血球増加症 |
研究実績の概要 |
骨髄増殖性腫瘍(MPN)は,造血幹細胞の異常による骨髄系細胞のクローナルな増殖を来す一連の疾患群と定義され,真性赤血球増加症(PV),本態性血小板血症(ET),原発性骨髄線維症(PMF)などがしられる。これまでに,上記3つの疾患に共通の変異として,JAK2,MPL,CALRなどの変異が報告されている。平成25年度において,日本全国より収集した検体を対象としたJAK2変異の探索を実施した。この結果を踏まえ,平成26年度では,JAK2,MPL,CALR遺伝子の高感度検出技術の確立,およびそれらを用いた変異のスクリーニングと,JAK2,MPL,CALR遺伝子のエクソンシークエンスを実施し,日本におけるMPN症例の変異スペクトラムを解析した。 確立した技術をもちいて,平成25年度で確定させたJAK2変異陰性の症例(PV:2例,ET:51例,PMF:12例)について,MPL変異,CALR変異の有無を探索したところ,ETにおいてMPL変異陽性7例,CALR変異陽性22例,PMFにおいてMPL変異陽性1例,CALR変異陽性7例を見出した。PVではMPL,CALRいずれの変異も検出されなかった。 残ったJAK2変異,MPL変異,CALR変異いずれも陰性であった症例すべて(PV:2例,ET:22例,PMF:4例)について,JAK2,MPL,CALR遺伝子の全エクソン配列を次世代シークエンサーをもちいて解読し,新たな変異が検出されないか確認したが,候補として有力な変異は見出されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の目標はJAK2領域の選択的濃縮技術の確立,およびそれをもちいたJAK2領域の全配列シークエンスをおこなうことであった。実際の成果として,JAK2のみならず,MPNに関連すると考えられる遺伝子であるMPL,CALRのエクソン領域を次世代シークエンサーで解読できるプラットフォームを立ち上げたのみならず,それらを実際に収集したコホートへ応用し,日本におけるMPN患者の変異スペクトラムを日本で初めて報告できたことから,目標は十分に達したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析によって,JAK2,MPL,CALRいずれの変異ももたない症例が一定数存在することが明らかとなった。今後は,その中でも特に,PV症例について全ゲノム解析なども視野に入れ,診断に利用できる変異を探索することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費の主な使途として次世代シークエンサー関連技術の構築に係る経費を見込んでいたが,予想よりも開発費を抑えることができたため,余剰が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
データの信頼性向上のため,解析コホートを拡大する予定である。コホート拡大に伴う経費増大に対応するため,今回発生した余剰金を充当する。
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