研究課題
In vitro:1)培養ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)において、キスペプチン10はアポトーシスを誘導せずに濃度依存的に増殖を抑制した。また、キスペプチン10がHUVECへの単球の接着を促進したメカニズムおよび炎症に対する作用を検討したところ、接着因子(E-selectin、VCAM-1、ICAM-1)および炎症性サイトカイン(MCP-1、IL-6、TNF-α)のmRNA発現を促進した。さらに、VCAM-1、ICAM-1のタンパク質発現も促進した。2)培養ヒト大動脈平滑筋細胞において、キスペプチン10は遊走に加えて増殖も抑制した。それらにはp38やERK1/2のup-regulationが関与していた。また、キスペプチン10は細胞外マトリックスのMMP2およびMMP9の活性を有意に促進させた。一方、Tumor Necrosis Factor-Stimulated Gene-6(TSG-6)は、c-Src、リン酸化ERK1/2、p38、NF-κB タンパク質発現を抑制したが、PI3K、Raf-1、total ERK1/2発現には影響しなかった。さらに、TSG-6は抗アポトーシス分子のBcl-2タンパク質発現を促進した。臨床研究:検討した中で最も有力なTSG-6のヒトにおける病態生理学的意義およびバイオマーカーとしての有用性を検討するため、冠動脈疾患患者の冠動脈および血中レベルを比較した。冠動脈疾患(急性冠症候群)患者の冠動脈プラークの線維性皮膜(フィブラスキャップ)においてTSG-6 は強発現していた。また、冠動脈疾患患者では非冠動脈疾患患者に比べ、TSG-6の血中濃度は有意に増加していた。これは、動脈硬化病変形成を食い止めようと反応性にマクロファージや血管平滑筋細胞から分泌されて増加したものと考えられた。よって、TSG-6 は、冠動脈硬化症のバイオマーカーになる可能性が強く示唆された。
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