BDNF定量条件の検討:ラットC6細胞からmRNAを抽出し、BDNF Exon1およびCoding Sequence(CDS)のプライマーを用いてReal Time PCRを行い定量条件の検討を行った。CDS(BDNFの全てのTranscript variantsに共通の配列)に比べ、Exon1の発現量は非常に少なく(およそ1/100以下)、定量性に欠けるという結果となった。 ハウスキーピング遺伝子(Cyclophilin B(CPB))の定量条件の検討(Real Time PCR):定量は再現性あり、コントロールとして使用する予定としている。 siRNAの検討:siRNAポジティブおよびネガティブコントロールを購入し(Dharmacon社)、これらを用いたトランスフェクション条件の検討を行った。具体的にはsiRNA量、細胞数、トランスフェクション試薬量、無血清培地での洗浄、siRNA暴露時間などの条件を検討し、コントロールCPBに対するsiRNA効果を確認した(50%ノックダウン)。一方、Exon1に対するsiRNAターゲット配列はSIGMA社に設計を依頼し、3つのターゲット領域を得た。しかし、C6細胞から得られるExon1は低濃度であり、siRNAによるノックダウン効果を検討するには定量精度が低かった。そこでBDNF transcript variant Iをクローニングし、細胞へのトランスフェクションによるBDNF過発現細胞を作成することになった。 BDNFクローニング:ラット脳からmRNA抽出した後、BDNF transcript variant I (4252bp) のうち、Exon1とCDSを含む1410bpの遺伝子クローニングを試みた。プラスミドベクターpcDNA3.1(+)へ挿入するため、BDNF transcript variant Iの5’末端にBamHIサイト、CDS領域の3’末端にEcoRIサイトを接着したプライマーを設計し、目的とするBDNF transcript variant Iを得た。 今後はBDNF過発現細胞を作成し、siRNAの効果を確認した後、shRNAおよびアデノ随伴ウイルスベクターを用いたshRNA発現系を作成し、in vivoで検討を行う予定である。
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