研究課題/領域番号 |
25860426
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山田 寿彦 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (10571044)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経科学 / 神経伝達物質 / 痛み / 内因性鎮痛機構 |
研究概要 |
NAAG分解酵素阻害薬の脳室内投与により鎮痛効果があることは知られているが、その詳細な作用部位は知られていない。本研究では、NAAG分解酵素阻害薬をステレオ手術の技術を用いて青班核(LC)に投与して、その効果を検討した。NAAG分解酵素阻害薬としては、2PMPAとZJ43を用いた。痛みモデルは、ラットホルマリンテストを用いた。 2PMPA、ZJ43は、ホルマリン皮下注側と同側・対側に投与しても鎮痛効果が確認されたが、対側に投与した時のみLY341495腹腔内投与・idazoxan髄腔内投与にて拮抗された。従って、NAAG分解酵素阻害薬の鎮痛効果は、同側・対側で異なることが示された。 腹腔内投与した2PMPAの効果は、idazoxan髄腔内投与にて完全に拮抗された。このことから、全身投与した際は、ホルマリン皮下注と対側LCを介した鎮痛効果が主であることが示唆された。 Microdialysisによる検討では、2PMPA全身投与により腰膨大部近傍の脳脊髄液内のノルアドレナリン含量が有意に上昇することが示された。このことは、2PMPAの効果がidazoxan髄腔内投与にて拮抗された事実と一致する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りLC投与によるNAAG分解酵素阻害薬の鎮痛効果を確認することが出来、この効果が下降性疼痛抑制系賦活化によるノルアドレナリンの放出の増加によることを、痛みの行動モデルとマイクロダイアリシス方を用いて示すことができた。ただ、本年度はホルマリンモデルを用いた研究しか行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、予定通り、ホルマリンモデル以外の痛みモデルを用いた研究を進めていき、NAAG分解酵素阻害薬の有効性を確認していきたい。このことにより、臨床応用の可能性を確認していくことが出来ると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、予定通りにLC投与によるNAAG分解酵素阻害薬の鎮痛効果を、ホルマリンテストを用いて確認できた。しかしながら、ここまでの成果を出すのに時間がかかってしまい、本年の予定であった他の痛みモデル(神経障害性痛モデルなど)での研究を行うことが出来なかったため、執行額が少なくなった。 本年度は、神経障害性痛モデルとして坐骨神経部分結紮モデルを用いて、LC投与によるNAAG分解酵素阻害薬の鎮痛効果を検討する。さらに、従来からの計画であるNAAGとグリアとの関係、NAAG分解酵素阻害薬と他の鎮痛薬との相互作用、NAAG分解酵素阻害薬長期投与による耐性形成の有無、の検討を行う予定である。
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