がんによる神経障害性痛は、腫瘍が脊椎や神経を圧迫・浸潤することにより引き起こされる。この痛みは既存の鎮痛薬が効きにくいことが知られている。本研究では、がんによる神経障害の病態生理を明らかにし、新たな鎮痛薬の探索を行った。神経を可視化することができる遺伝子組換えマウスを用いて膵癌の腹膜播種疼痛モデルを作製し、癌と神経の相互作用を解析したところ、癌によるシュワン細胞の脱分化が認められた。そこでシュワン細胞の脱分化を阻害する薬剤を処置したところ、痛みの軽減が認められた。これらのことから、がんによる神経障害性痛に対し、シュワン細胞の脱分化を阻害する薬剤が有用である可能性が示唆された。
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