研究課題/領域番号 |
25860433
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮下 ちひろ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (70632389)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 妊婦 / 葉酸 / 小児喘息 / 発症リスク / アレルギー / DNAメチル化 / 遺伝子変異 / SNPs |
研究実績の概要 |
神経管閉鎖障害(二分脊椎など)リスク低減を目的に妊婦の葉酸摂取が国際的に推奨されている。しかし近年,妊婦の過剰な葉酸摂取による小児アレルギー発症リスク増加が示唆された。作用機序としてメチル基供与体である葉酸は後天的修飾(DNAメチル化)を促進することにより遺伝子発現を不活化し,胎児の免疫系発達を阻害する可能性が示唆された。 本研究の目的は,妊婦の過剰な葉酸摂取が後天的遺伝修飾を介して,学童期の小児喘息発症リスクに与える影響を,環境-遺伝交互作用を含めて明らかにし,日本人のライフスタイルや遺伝的素因を踏まえた妊婦の葉酸摂取指針や,小児喘息の予防対策のために科学的エビデンスを提供し,遺伝的ハイリスク群に対する予防医学的対応策を明示することである。 本研究は,出生前向きコホート「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」を利用し、平成27年2月までに7歳時の児3,900名からアレルギー調査票(ISAAC)を回収した。7歳時のアレルギー有病率は気管支喘息8.9%で、345名の喘息症例を得ることができた。7歳に達し、アレルギー疾患既往歴がない児の中から、児の出生年と性別でマッチングしたコントロール690名を抽出した。北海道スタディの参加登録者から既に採取・冷凍保存された臍帯血検体を使用して、7歳時の喘息ケースとコントロール合せて1035名の臍帯血からDNA抽出を行った。喘息の一遺伝子多型(SNPs)解析ターゲット(ORMDL3/GSDMB、IL13、CD-14、HLA-DPB1)を選び、96件のSNPs解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画に沿って7歳時の児3,900名からアレルギー調査票(ISAAC)を回収した。7歳の喘息症例345例とコントロール690名から臍帯血中DNA抽出をした。喘息の一遺伝子多型(SNPs)の解析ターゲットの選出と準備に時間がかかり、96件のSNPs解析を行ったが、まだ途中である。唾液の収集方法と喘息質問票の作成に時間がかかったため、唾液はこれから集める見込みであり、当初の研究計画より進行がやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は当初の研究計画に沿って、引き続いてコホート内症例対照研究を行う。平成27年2月時点までに得ることができた、喘息ケース345名、コントロール690名の全件について喘息SNPs解析を行う。平成27年9月までに7.5歳時の唾液を140名について回収し、ケースとコントロール合計140名の臍帯血と学童期の唾液を用いて後天的遺伝修飾(DNAメチル化)を解析する。既に測定された妊娠初期葉酸値と7歳小児喘息発症リスクを,先天的・後天的遺伝子変異と胎児期,乳幼児期,学童期に蓄積された環境要因の交互作用を合わせて解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」の7歳のアレルギー調査票(ISAAC)は、化学物質に対する次世代影響の解明を目的とする別の研究費で実施されたので、本研究費は使用されなかった。SNPs解析は進行中なので、平成26年度で支出した実験試薬購入費は予定より少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度以降に、1035名全員の喘息関連遺伝子SNPsの解析、および7歳時の唾液を回収するため、H26年度繰り越し分を調査票の郵送や解析用実験試薬購入費に充てる。
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