研究課題
北海道大規模出生コホート研究に参加し、妊娠初期調査票、血清葉酸値、7歳の調査票が揃う1262人を対象に、妊娠初期の血清葉酸値および葉酸サプリメント摂取が7歳の喘息リスクに与える影響を検討した。妊娠初期の母体血清葉酸濃度を化学発光免疫測定法により測定した((株)SRL)。血清葉酸値は全体で7.3 ng/ml(中央値)で、7歳喘息群(n156)と非喘息群(n=1106)で有意な差はなかった。血清葉酸値が4 ng/ml未満の葉酸欠乏群は2.5%、4-5.9 ng/mlの低値群は20.8%、6 ng/ml以上の充足群は76.7 %であり、充足群が最も多かった。妊娠初期の血清葉酸値は、母の出産時年齢、妊娠初期の飲酒と喫煙、および葉酸サプリメント摂取と有意に関連した。7歳の児の喘息は児の性別、両親の喘息既往歴、7歳時の兄弟の有無と有意に関連した。妊娠初期の葉酸値(連続値)、欠乏・低値・充足の3群、または葉酸サプリメント摂取を曝露、7歳の喘息リスクをアウトカムにして、上記の母児の属性で調整したロジスティック回帰分析を実施した。妊娠初期葉酸値の低値群と充足群では、欠乏群と比較して7歳喘息リスクが低下する傾向が認められた(オッズ比、95%信頼区間:低値群=0.38、0.16-0.91、充足群=0.44、0.20-1.0)。しかし一方で、血清葉酸値(連続値)と葉酸サプリメント摂取と7歳喘息リスクに関連は認められなかった。したがって、本研究では、諸外国の先行研究による「葉酸が生後の児の喘息リスクを増加させる」という、妊娠中の葉酸摂取による生後の免疫への負の影響は認められなかった。本研究では全体で葉酸と喘息の関連が明確でなかったが、遺伝要因については、対象集団からDNA抽出や唾液の採取を実施しており、今後さらに血清葉酸値の欠乏・低値・充足群に層別化して検討する。
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