正規分布に従う量的表現型を仮定し、血縁構造を除外した集団と、血縁構造を除外しない集団で、表現型と環境因子との関連性の結果に違いがあるか、サンプルサイズ、血縁構造化の大きさ、表現型の有病率、易罹病性の遺伝率、リスク環境因子の効果サイズの5つの観点で検証し、血縁構造化の影響を調べた。検証用データとして、家系内の遺伝力がある程度大きく、稀な疾患を仮定したシミュレーションデータを生成した。一般集団での表現型発症頻度を0.1%、血縁構造の程度を、1親等、2親等、3親等を仮定して、それぞれの遺伝力の条件下で、血縁構造ごとに異なる表現型発症確率を与えた。血縁構造と一般集団による混合集団のそれぞれの混合割合について、一般集団と血縁構造の比、4対6、2対8、6対4と変化させて、全サンプルサイズを100、500、1000、5000で生成し、混合正規分布に従う量的表現型を想定した。環境因子と遺伝因子すべての効果は、一つの変量、つまり易罹病性に集約されることを考慮し、血縁構造を除外した集団と血縁構造を除外しない集団で、それぞれの易罹病性の分布に違いがあるかt検定を行ったところ、有意な差はみられず、血縁構造によるきわめて大きな影響が懸念されることは示唆されなかった。しかし、今回のように、家系内の遺伝力がある程度大きく、稀な疾患を想定して限られた条件のもとでの検証結果であることも考慮し、今後の更なる詳細な検討が必要である。
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