研究課題/領域番号 |
25860440
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
釜野 桜子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (00612574)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 慢性炎症 / コルチゾール / サイトカイン / hs-CRP / 食習慣 / ストレス / 栄養疫学 |
研究実績の概要 |
慢性炎症は、心血管疾患や糖尿病などとの関連が明らかになってきており、後の様々な生活習慣病発症に関わる病態であることから、若年成人のストレスや食生活による炎症への影響を明らかにする必要がある。本研究では、ストレスおよび食事が、若年成人の炎症状態に対しどのような相互作用を示すかどうかを疫学的アプローチにより解明することを目的としている。 本年度は、男子大学生(20歳以上)に対する本調査をすべて終了した。食生活やストレスに関する質問票、食物摂取頻度調査票を実施し、唾液や血液を採取した。得られた調査票データを入力・クリーニングし、解析を行った。 単相関解析の結果、総エネルギー摂取量とGHQ28精神健康調査票の総スコアおよび不安・不眠のスコアが正に相関しており、ストレスを感じている者ほど多くのエネルギーを摂取していることが示唆された。また総エネルギー摂取量とBodyMassIndex値を調整した重回帰分析の結果、GHQ28の身体症状(疲労)とビタミンD摂取量が負に関連していた。以前に慢性疲労症候群とビタミンD摂取不足が関連しているという報告があり、炎症性因子がそれらの関連に関与している可能性が考えられる。慢性疲労症候群は若者にも増えてきており、国民健康・栄養調査の近年の結果でも、若者の2.5割以上が睡眠による疲労回復が十分に得られず、5割が日中に眠気を感じていると報告されている。 今後、唾液や血液中の炎症性因子の測定が終了次第、多変量解析によりどのような炎症因子が相互作用しているのか検討し、報告をまとめる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は本調査である大学生を対象とした調査を終了し、調査表データの入力・クリーニングまで終了した。前年度に研究代表者の産前産後・育児休暇を挟んだが、事業期間の1年間の延長を申請したので、遅れを取り戻すことができた。 唾液および血液中の炎症性因子の測定は、外部委託による測定を一部含むため年度末の繁忙期は避けたが、次年度に入り次第すみやかに測定を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は迅速に唾液および血液中の炎症性因子の測定を行い、食習慣やストレスの質問票の結果との関連を検討し、結果を学会や論文で発表する予定である。また、若年集団が100名未満とやや小規模であるため、徳島県の中高年集団約2000名についてhs-CRPのみを測定し、炎症と食習慣、ストレスについて検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、本調査を終了することができたが、支出は協力者への謝金がほとんどであった。単価の高い唾液や血液中の炎症性因子の測定は一部(hs-CRP等)、外部委託もあり年度をまたぐことを避けるため、また測定の時期をそろえるために行わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度、購入予定であった単価の高い唾液や血液中の炎症性因子の測定キットの購入を予定している。またhs-CRP等の一部は外部委託で測定を依頼する。得られた研究成果について、学会発表や論文投稿も行う予定なのでその費用を計上している。
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