The Research on Osteoarthritis/osteoporosis Against Disability (ROAD) study (2005年より開始された、都市型コホート・山村型コホート・漁村型コホートの3地域から構成される骨関節疾患における大規模臨床研究)のsub-cohortとして始まった本研究(参加者は1011人、男性335人、女性676人)も第一次追跡調査が無事終了した。現在もデータ整理中であるが、これにより今まで不明であった腰部脊柱管狭窄症(LSS)など高齢者の脊椎疾患における自然経過が明らかになる。 またbaseline dataより腰椎すべりと腰痛、LSS症状との関係が明らかになった。本コホートで腰椎すべりはL3-5に認めた。1カ所でもすべりを有する者の頻度は全体で15.8%、男性13.0%(40/308)、女性17.1%(108/630)であり、男女間で有意な差は認めなかった。(p=0.90、カイ二乗検定)1カ所でもすべりを有する者のうち腰痛を有する者は46.9%、すべりが無い者のうち腰痛を有する者は38.2%であり、有意差は無かった。(p=0.55、カイ二乗検定)またすべりを有する者のうちLSSと診断された者は15.5%(23/148)、すべりを有さない者のうちLSSと診断された者は7.2%(61/790)であり、すべりを有する群の方が有意にLSSの頻度が高かった。(p=0.002、カイ二乗検定)またLSSの有無を目的変数とし、すべりの有無・性・年齢・BMIを説明変数としロジスティック回帰分析を行ったところ、すべりは有意な関連を認めた。(オッズ比:2.07、信頼区間1.20-3.44) 本コホートにおいて、腰椎すべりの有無は腰痛に対しては統計学的有意差を認めなかったが、LSSに対して関連因子であると考えられた。
|