研究実績の概要 |
高齢者が糖尿病の診療を受けるために通院する医療機関の地理的分布を検証した.茨城県で2010年5月の1ヶ月に糖尿病を主病名として通院し後期高齢者医療制度により保険請求された診療データを用いて,市町村ごとにその中心地から医療機関までの距離を測定し,これらの医療機関の地理的分布を検討した.対象は17,717件で,住所地から地図上の位置情報に変換できた17,144件(96.8%)を解析対象とした.医療機関までの距離の中央値[四分位範囲]は5.5 [2.3―9.9] kmであった.これは,性・年齢によってわずかに違いを認めるものの,市町村の人口,高齢化率,市町村面積によって違いを認めなかった.高齢者が糖尿病で通院する医療機関は市町村中心から概ね10km範囲に分布していた.受療行動の範囲の実態が明らかになったことで,医療圏を評価する際の参照が得られた.
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