研究課題/領域番号 |
25860469
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 天理医療大学 |
研究代表者 |
中村 彰宏 天理医療大学, 医療学部, 研究員 (30647087)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ESBL producing E.coli / MALDI-TOF MS / PFGE / MLST / Phylogenetic group |
研究概要 |
近年、ESBL producing E. coliが病院内のみならず市中でも蔓延している。本研究は、世界的蔓延傾向にあるESBL producing E. coliを中心にMALDI-TOF MSを用いた迅速なタイピング解析手法を確立することで医療関連感染対策を迅速に施行でき、また地域および国内の菌株分析にも応用できると考えた。 平成25年度の研究ではESBL producing E. coli(入院患者32株、健常人42株)72株についてmultilocus sequence typing、phylogenetic group、ESBL gene typeおよびPFGEについて分子疫学的解析を行い、MALDI-TOF MSで得られたスペクトル波形の分析が医療関連感染時の分子疫学的解析に応用可能か検証した。 入院患者 (n=32) におけるESBL producing E. coliはB2-ST131が38% (12/32) と最も多く、次いでD-ST38、A-ST10およびB1-ST533が9% (3/32)、D-ST405、D-ST648およびD-ST393が6% (2/32) であった。一方、健常人 (n=42) ではD-ST1485が29% (12/42) と最も多く、次いでD-ST38およびA-ST93が7% (3/42)、そしてD-ST405、D-ST648およびA-ST23が5% (2/42) であった。 PFGEによる解析ではB2-ST131は3つのcluster、D-ST38は2つのcluster、D-ST1485、D-ST405およびA-ST10は1つのclusterで構成された。 MALDI BIotyper 4.0ソフトフェアを用いてMALDI-TOF MSで得られたスペクトルピークからデンドログラムを作成し、PFGEによるデンドログラムと比較したが、PFGE同等の識別能力は得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ESBL producing E. coli 72株すべてにおいて分子疫学的解析は終了したが、MALDI-TOF MSで得られたスペクトルピークからデンドログラムを作成し、PFGEによるデンドログラムと比較したが、PFGE同等の識別能力は得られなかった。現在、MALDI-TOF MSから得られたSignal to Noise値(S/N値)を用いてウォード法にて解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
MALDI-TOF MSで得られたスペクトルピークからデンドログラムを作成し、PFGEによるデンドログラムと比較したが、PFGE同等の識別能力は得られなかった。現在、MALDI-TOF MSから得られたSignal to Noise値(S/N値)を用いてウォード法にて解析予定である。 また本研究過程においてESBL ST131とnon ST131がスペクトルピークの波形から鑑別が可能であることが判明した。鑑別に挙がったスペクトルピークのタンパク質の同定を実施し、相違点を追究する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
MALDI-TOF MSを用いたデンドログラムの作成にMALDI-TOF MS関連試薬(マトリックス試薬やアセトニトリルなど)および器具が必要となるとなります。また、ST131特有の未知タンパク質の同定に必要な試薬および器具も必要となります。 MALDI-TOF MS関連試薬および器具、未知のタンパク質同定にHPLCカラムやHPLC関連試薬が必要となります。
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