研究課題
「FoxP3の役割の解析」制御性T細胞モデル細胞MT-2にアスベスト長期曝露を加えることにより発現量の低下することが見いだされている転写因子FoxP3の役割を検討することを目的として、GFPを融合したFoxP3発現ベクターを構築した。アスベスト長期曝露MT-2細胞にGFP-FoxP3を発現したところ、GFP-FoxP3の発現によりアポトーシスが誘導された。さらにGFP-FoxP3発現細胞にアスベスト曝露を加えることによりアポトーシス細胞数はさらに増加した。なお、コントロールとして用いたGFP発現細胞ではアスベスト曝露を加えてもアポトーシスは誘導されなかった。また、FoxP3のDNA結合領域または転写活性化領域を欠損したFoxP3変異体ではアポトーシスは誘導されないことから、FoxP3によるアポトーシス誘導にはFoxP3の正常な構造と転写調節能が重要であることが示された。以上の結果から、FoxP3は標的遺伝子の転写調節を介してMT-2細胞のアポトーシスを誘導することが明らかとなった。さらに、アスベスト長期曝露細胞ではFoxP3の発現が低下しているため、高濃度アスベストにより誘導されるアポトーシスを回避する可能性が示された。「制御性T細胞機能の調節機構の解析」制御性T細胞の分化誘導にはFoxP3とともに様々な分子が関与することが知られている。そこで、MT-2親細胞とアスベスト長期曝露細胞を用いてRT-PCR法により制御性T細胞分化の関連分子の発現量を比較した。その結果、アスベスト長期曝露細胞では転写因子GATA1の発現量が顕著に増加していることが明らかとなった。GATA1はFoxP3と複合体を形成し制御性T細胞分化を誘導することが報告されており、GATA1の発現上昇がアスベスト長期曝露細胞のサイトカイン産生の亢進に関与することが考えられる。
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