研究課題/領域番号 |
25860475
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研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
淺田 安紀子 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 研究員 (80622753)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 違法ドラッグ / 危険ドラッグ |
研究実績の概要 |
近年、指定薬物等を配合した違法ドラッグが大きな社会問題となっている。指定薬物と類似の構造を持つ指定薬物アナログは無数に合成されており、取締りに際しては化学構造の差異を正確に捕捉可能な分析法が不可欠である。また、それらの化合物が人体に摂取されたのち、どのような構造の代謝物として排出されるかはほとんど知られていない。本研究課題では、違法ドラッグ成分である指定薬物と指定薬物アナログの正確かつ迅速な分析システムの開発、および簡便な指定薬物アナログ代謝物の探索・同定方法の検討を行う。 今年度は、違法ドラッグ成分である指定薬物アナログを対象とした分析法の開発と、LC-NMR分析条件検討を行った。さらに製品より検出された薬物成分の分解物の構造決定を行った。 1)70種類以上の標準品を配備し、LC-PDA、GC-MSおよびLC-QTOF/MSの分析条件を設定した。加えて、市販されていない指定薬物アナログの化学合成を行い、7種類の新規化合物を合成した。その結果、分析対象化合物を300種類以上とした。 2)実際の違法ドラッグ検体を用いて分析条件検討を行い、LC-PDAでの酸や界面活性剤を含まない系での分離条件を設定した。またこの分析条件を用いて LC-NMRによる分析を行い、違法ドラッグ検体に含まれる成分の構造決定を達成した。 3)違法ドラッグ製品より検出された薬物成分の分解物について、NMRとX線結晶構造解析を利用して構造決定を行った。また薬物成分より分解物が生成する条件を調査し、その生成機構を推定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
違法ドラッグ成分の代謝物分析法の開発に向けて、必要な準備を整えることができた。また、LC-NMR分析の条件検討を行い、実際の検体に適用できることを確認した。しかし、条件検討の際に多くの労力を必要とすることが判明したため、この点については今後検討が必要と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
構造の類似した指定薬物アナログを対象に、代謝物のLC/QTOF-MSによる一斉分析法を開発する。 また、LC-NMR分析で対象薬物の1H-NMRデータを取得できることを確認したが、用いる試料溶液の濃度や条件設定等、分析前に検討するべき事項が多かったため今後は異なる分析機器の使用も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた指定薬物アナログ標準品が、納期や輸入先の法規制等の関係で購入不可となる事例があったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、指定薬物アナログ標準品の購入に充てることを計画している。輸入不可の化合物については合成を検討し、合成原料を購入する。
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