研究課題
近年、指定薬物等を配合した違法ドラッグ(危険ドラッグ)が大きな社会問題となっている。指定薬物と類似の構造を持つ指定薬物アナログは無数に合成されており、取締りに際しては化学構造の差異を正確に捕捉可能な分析法が不可欠である。また、それらの化合物が人体に摂取されたのち、どのような構造の代謝物として排出されるかはほとんど知られていない。本研究課題では、違法ドラッグ成分である指定薬物と指定薬物アナログの正確かつ迅速な分析システムの開発、および簡便な指定薬物アナログ代謝物の探索・同定方法の検討を行う。今年度は、類似構造を有する指定薬物アナログについてヒト代謝酵素による代謝実験を行い、生成物を分析した。さらに製品より検出された薬物の合成副生成物の構造決定を行った。1)新たに配備した約50種類の違法ドラッグ標準品について、LC-PDA、GC-MSおよびLC-QTOF/MSの分析条件の設定を行うとともに、スペクトルライブラリを作成した。加えて、市販されていない指定薬物アナログの化学合成を行い、8種類の新規化合物を合成した。その結果、分析対象化合物を350種類以上とした。2)類似した構造を持つ指定薬物アナログについて、肝ミクロソームを用いたin vitroの系で代謝実験を行った。その結果、指定薬物アナログの含窒素骨格の違いが代謝されやすさに影響する傾向があることを明らかにした。3)違法ドラッグ製品より検出された薬物の合成副生成物について構造決定を行った。また副生成物が生成する条件を調査し、その生成機構を推定した。
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Forensic Toxicology
巻: 34 ページ: 76-93
10.1007/s11419-015-0288-3
http://www.iph.pref.osaka.jp/merumaga/back/151-2.html