本研究は、院内感染の主要な菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Staphylococcus aureus:以下MRSA )の医療系学生と患者間における伝播の状況について検討したのもである。当院で臨床実習中の医学科学生の鼻腔におけるMRSA保菌状況は、225人中2人(0.89%)のみであった。2人ともに臨床実習開始前からの保菌であり、1人は実習開始後6ヵ月の時点でも継続的に保菌していた。タイピング検査では二人の菌株に同一性はなかった。また同時期に入院患者から分離されたMRSAとの相同性からは、医学生と患者間におけるMRSAの伝播の可能性も考えられた。
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