研究課題/領域番号 |
25860484
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
太田 好紀 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10516404)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 医療の質 / 薬剤性有害事象 / 臨床疫学研究 |
研究実績の概要 |
本邦における集中治療室における薬剤性有害事象および薬剤関連エラーの疫学を明らかにするために、研究実施計画通りに集中治療室入室患者を対象に多施設ヒストリカルコホート研究を実施した。 当初の計画通り、平成25年度に作成した集中治療室入室患者を対象にした患者背景ならびに薬剤性有害事象や薬剤関連エラーの潜在的事象を全て抽出した本研究用のデータベースを用いて平成26年度に解析した。 459人、3231患者日のICU入室患者で検討し、70人の患者、99の薬剤性有害事象が発生していることが分かり、30.6/1000患者日、21.6/100患者の頻度であることが判明した。ICU入室患者459人の滞在日数は中央値3日、ICU死亡は73人で死亡率は16%であった。ICU入室後3日以内の38患者の死亡を除いたICU患者で滞在日数を検討したところ、ICU患者が薬剤性有害事象の有無で12人(17%)と23人(7%)(p=0.003)とICU死亡率に有意差を認めた。ICU滞在中の73患者の死亡を除外し、ICU滞在日数を検討したところ、薬剤性有害事象の有無で13日と2日(p<0.0001)と滞在日数に有意差を認め、死亡率、ICU滞在日数と薬剤性有害事象が関連することを示した。次に患者重症度を臓器別に検討し、薬剤性有害事象との関連を検討したところ、ICU滞在日数には関連したが、死亡率は関連していなかった。臓器障害と薬剤関連有害事象には関連が無いことも示した。 得られた結果をInt J Qual Health Care. 2014;26:573-8で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに集中治療室入室患者を対象とした薬剤性有害事象に関する臨床研究は順調に経過している。現在、発生率とそれが影響を及ぼすICU死亡率、滞在日数、また薬剤性有害事象と患者重症度などの関連性の評価は終了しており、論文投稿も完了している。
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今後の研究の推進方策 |
集中治療室における薬剤性有害事象のコホート研究をおおむね計画通りに実施できた。NICUを対象とした薬剤性有害事象に関する研究も引き続き行っていくと共に、今後は薬剤よりも侵襲の高い手術に関するコホート研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
NICUを対象とした薬剤有害事象に関して得られたデータ処理が途中であるため。
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次年度使用額の使用計画 |
人件費及び、研究結果を広く公表するため、世界へ発信するための海外旅費に計上する予定である。
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