本研究の目的は,死後撮影CTにおいて,どのくらいの大きさのどのような眼内異常所見であれば捉えることができるかを明らかにすることである. CTで観察された所見として,上脈絡膜出血,加齢性強膜石灰化病巣,眼球癆,シリコンオイル注入眼等があった.CTで確認できなかった所見として,死後の網膜皺壁,星状硝子体症,硝子体出血,増殖硝子体網膜症等があった.最も高頻度に観察された網膜皺壁であるが,皺壁の丈は全例2mm以下で網膜下液を伴わないことから, CTでは観察困難と考えられた.上脈絡膜出血については,全例CTでも確認され,何れの症例も胸腔内圧が上昇するような状況があり,発症と死因との因果関係が考えられた.
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